ちなみに、年金がある程度減ることは、少子高齢化ですから当然のことです。「政府が年金制度を改悪した」などと考えるべきではありません。誰が総理大臣をやっても、年金を減らさずに制度を維持することは不可能なのですから。

一方で、高齢化ということは、人々が長生きするということですが、それは単に寿命が伸びるというだけではなく、健康寿命も伸びるはずです。そうであれば、「高齢者になっても元気な間は働けば良い」ということになるわけです。

平均寿命が短かった時にできた制度が変更になるのであれば、それと平行して我々も平均寿命が短かった頃の定年の年齢にとらわれず、かつての定年の年齢よりもはるかに長く働けば良いのです。

高度成長期の人々は、15歳から55歳まで働いて、定年を迎えて短い余生を楽しんで他界しました。人生の半分以上は働いていたわけです。そうであれば、人生100年時代の人々は、20歳から70歳まで、あるいはさらに長く働いて当然だ、と発想を転換することが重要でしょう。

老後資金が心配なら、長く働けば良いのです。寿命が伸びた分だけ健康寿命が伸びたとすれば、「老後」は伸びていないのですから。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

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塚崎 公義