私たちの老後の生活をささえる年金。
現在の日本の年金制度においては、老齢年金の受給開始年齢は「“原則”65歳」からです。
長引くコロナ禍、現役世代の仕事やお金事情は、先の見通しがたちにくい状態が続いています。
「60歳で定年退職したあと、年金をもらい始める65歳までの生活が苦しい」
そんな状況になる可能性は、誰にでも起こりうる話といえるでしょう。
また、還暦を過ぎても長く働き続ける人が増えているとはいえ、職種や健康状態、そしてライフスタイルによっては、60歳以降は仕事を離れたい、というケースもあるかと思います。
老齢年金には、本来(65歳から)の受給開始時期の他に、
- 受給開始を遅くして受給額を増やせる「繰下げ受給」
- 60歳から64歳の間に受給を始める「繰上げ受給」
という二つの制度があることをご存じでしたか?
年金の受給開始年齢は、希望すれば、60歳~70歳(※)の間から選ぶことができるのです。
(※2022年4月からは75歳までに引き上げられます。)
今回は『早めに年金が欲しい人へ「繰上げ受給」を知っていますか』と題し、前倒しで年金を受け取り始める「繰上げ受給」についてお話していきたいと思います。
年金制度のおさらい
繰上げ受給に興味はあるが、「そもそも、どんな基準で”繰上げ”と判断するのか?」と疑問を感じた方もいらっしゃるかと思います。
そこで、まずは日本の年金制度の基本を把握しておきましょう。
年金制度のキホン
「2階建て制度」などとも呼ばれる日本の年金のしくみは、国民年金・厚生年金の2つの制度から成り立ちます。
1階部分「国民年金」・・・日本に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務
2階部分「厚生年金」・・・公務員や会社員などが「国民年金」に上乗せして加入
老後は、厚生年金に加入していた人(サラリーマン・公務員)は「老齢基礎年金」+「老齢厚生年金」、国民年金だけ加入していた人(自営業、フリーランス、専業主婦(夫))は「老齢基礎年金」(1階部分のみ)を受給することに。
そして「老齢基礎年金」「老齢厚生年金」ともに、受給開始年齢は原則65歳です。