スポーツ&音楽好きの謙虚な社交家

かといって、単なるAIロボットのような人間味のない秀才ということではありません。地元、シアトル・タイムズ紙にジェシー氏のプライベートの一面を取り上げた記事がありました(※2)

ジェシー氏はどうやら、自他ともに認めるスポーツとロック音楽の大ファンだそうです。実は、シアトル拠点のプロホッケーチーム「シアトル・クラーケン」の共同オーナーの1人です。シアトルのキャピトルヒルにある自宅の地下室をスポーツ・バースタイルに改装し、友人や同僚たちを招いてはスポーツゲーム観戦を楽しむのが好きなようです。

ニューヨークタイムズ紙(※1)によれば、スポーツキャスターになりたかったと話しているほど、筋金入りのスポーツ好きなのでしょう。

またチキンウイングが大好物で、昔同僚と仕事帰りに始めたチキンウイングの大食い大会を“AWS re:Invent”(AWSの発表会兼パーティー)にて「チキンウイング大食いコンテスト」というイベントにしてしまうような遊び心もあるようです。

人柄としては、部下にはベゾス氏よりも穏やかな気性でリラックスしているし「近づきやすい」等の評判です。また、地元シアトルの教育関連の非営利慈善団体の理事や顧問としても活躍しているということです。そこでの評判は「謙虚」とのことです。

人権主義者ーAmazon社員への取り組みに影響?

ジェシー氏はどちらかというと大人しそうな印象があります。しかし、政治や人権問題についてはベゾス氏よりも損得考えずに率直な意見を述べることで知られています(※3)

「ブラック・ライヴズ・マター」では積極的にサポートしています。2020年にはAWS顔認証システム“Amazon Rekognition”が黒人に対して誤用されることを懸念して、警察へのサービス提供を1年間停止すると発表しました。1年間で顔認証の誤用に対する法規制が整うことを期待しているということです。

また、AWSは極右トランプサポーターが利用するSNS“Parler”に対してサーバー提供を停止しました。“Parler”では過激で危険な発言が投稿され、AWS側からの利用規定に反しているという警告を聞かなかったとしています。

つい最近では、ジェシー氏は本人のツイッターに「アジア人嫌悪犯罪が増えている事はとても心配だ。Amazon&AWSはパンアジアンコミュニティと連携して立ち向かう。#StopAsianHate」」と投稿しています。

どうやら人権主義者のようですが、今後、Amazon社内の労働組合結成対立など、倉庫勤務従業員に対する扱いにどう取り組むのかは注目されるところです。

インパクトの強い創業者ジェフ・ベゾスCEOの後を継ぐのはかなりのプレッシャーでしょう。ビジネスに対する考え方は基本的にベゾス氏と変わらないので、経営方針が大きく変わることはないだろうといわれています。ですが、多趣味なことや人望もあつく社交的な人柄はAmazonに新しい風を吹き込むのではないでしょうか。さらに便利なサービスが提供されることを期待します。

参考資料

美紀 ブライト