無理せず続けられる貯蓄術
家計簿をつけて固定費を見直し
それまで流れ作業のように行っていた家計運営を、項目を分けて細かく管理。ライフスタイルの変化に合わせてそのつど固定費を見直し、通信費など無駄な固定費を削減しました。それまでは「余った分は貯金」という感覚でしたが、家計簿をつけることで余計な支出をカットできるようになり、貯蓄のペースが上がったそうです。
先取り貯蓄・資産形成
専業主婦のため、退職金や年金といった老後資金が期待できず、老後の不安が強かったYさん。自分名義の個人年金を契約するなど、老後に向けた「先取り貯金」をまずは行いました。さらに扶養内のパートを始め、同時に年齢を問わずに働ける資格を取得。生活費は夫の収入からまかない、パート代は基本的にすべて貯蓄に回しました。今はつみたてNISAなどの資産成形にも取り組んでいるそうです。
無理なく続けられる小さな節約
「つい寄ってしまうコンビニをやめる」「予算を決めて買い物する」など簡単なルールは決めていますが、切り詰めすぎる節約はしないというYさん。「おやつはすべて手作り」「趣味は我慢」といった生活では長続きしないと分かっていたので、適度なゆるさも大切にしたそう。気づけば10年でしっかり貯蓄ができていたといいます。
小さなことでも継続するのが大切
Yさんは「小さなことでも継続することが大切。2~3年では貯められなかった」と話します。10年たって夫婦関係も変化し、今では離婚という選択を現実的にはとらえていないそうですが、やはり「あのとき、このままじゃ生きていけないと一念発起したのが大きかったです。今も、いざというときは動けるぞという心の余裕があるせいか、夫との付き合い方も変わった気がしています」と、離婚の意思が原動力になったことを語りました。
もちろん、離婚という選択が必ずしも正しいわけではなく、反対に今すぐ離婚をしなければならないというケースもあるため、どれが正解ということはありません。しかし、Yさんはあのまま生活を変えなかったら、貯蓄もほとんどできず、いざというときの不安も強くて落ち着かない生活を送ったかもしれないといいます。しっかりした貯蓄や稼ぐ力を身に付けることは、心の安定にもつながるといえるでしょう。いざというときを見据えた女性の強さが、結果として大きな貯蓄を生みました。無理せず続けられる貯蓄術なら、参考にできることもたくさんありそうですね。
貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
参考資料
中川 雅美