さらに英国は同月、英国海外市民(BNO)の資格を持つ香港市民に対して、英市民権獲得の道を開く特別ビザの申請受付を開始した。

同措置は昨年、中国が香港に課した国家安全維持法に対抗して英国が発表したもの。BNO保有者とその家族は英国に5年間滞在して就学や就労でき、将来的に市民権を得ることも可能となる。

英政府はこの新たなビザ制度により、30万人以上の香港市民が英国に移住すると予想しているという。

一方、南太平洋に海外領土を持つフランスは、日本に自衛隊との共同訓練やフリゲート艦を太平洋に展開し、インド太平洋地域に領土を持たないドイツも今年夏以降、フリゲート艦を長期的にインド太平洋地域に送る計画だという。

日米豪印に加え、欧州主要国も中国離れへ

既に日本と米国、オーストラリアとインドの4カ国は、ハイテク製品の生産に欠かせないレアアースなどの鉱物資源で中国依存を減らすために協力を強化しているように、今後は欧州主要国も経済分野で対中依存を下げていく可能性がある。

そういった動きにより、今後はトランプ政権下の米中対立以上に、より広い範囲で貿易摩擦が展開される可能性があろう。

和田 大樹