貯蓄格差の「背景」を探る
さきほどから60代の貯蓄事情をながめてきましたが、「金融資産保有世帯のみ」と「金融資産非保有の世帯も含めた場合」で、保有している金融資産の内訳にどの様な違いがあるのか、見ていきたいと思います。
実はこれが、さきほど触れた「貯蓄格差」に大きく関係してくると考えられるのです。
前出の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査][二人以上世帯調査](令和2年)」を参考に、60代の各世帯が、金融資産をどのような形で持っているかをながめていきます。
60歳代 単身世帯
金融資産保有額(金融資産保有世帯):1872万円
金融資産保有額(含:金融資産非保有世帯):1305万円
〈金融資産の内訳〉
預貯金
- 金融資産保有世帯:795万円
- 含:金融資産非保有世帯:555万円
金銭信託
- 金融資産保有世帯:10万円
- 含:金融資産非保有世帯:7万円
生命保険
- 金融資産保有世帯:153万円
- 含:金融資産非保有世帯:107万円
損害保険
- 金融資産保有世帯:16万円
- 含:金融資産非保有世帯:11万円
個人年金保険
- 金融資産保有世帯:172万円
- 含:金融資産非保有世帯:120万円
債券
- 金融資産保有世帯:182万円
- 含:金融資産非保有世帯:127万円
株式
- 金融資産保有世帯:281万円
- 含:金融資産非保有世帯:196万円
投資信託
- 金融資産保有世帯:222万円
- 含:金融資産非保有世帯:155万円
財形貯蓄
- 金融資産保有世帯:7万円
- 含:金融資産非保有世帯:5万円
その他金融資産
- 金融資産保有世帯:33万円
- 含:金融資産非保有世帯:23万円
60歳代 二人以上世帯
金融資産保有額(金融資産保有世帯):2154万円
金融資産保有額(含:金融資産非保有世帯):1745万円
〈金融資産の内訳〉
預貯金
- 金融資産保有世帯:1184万円
- 含:金融資産非保有世帯:959万円
金銭信託
- 金融資産保有世帯:6万円
- 含:金融資産非保有世帯:5万円
生命保険
- 金融資産保有世帯:353万円
- 含:金融資産非保有世帯:286万円
損害保険
- 金融資産保有世帯:49万円
- 含:金融資産非保有世帯:39万円
個人年金保険
- 金融資産保有世帯:165万円
- 含:金融資産非保有世帯:134万円
債券
- 金融資産保有世帯:56万円
- 含:金融資産非保有世帯:45万円
株式
- 金融資産保有世帯:178万円
- 含:金融資産非保有世帯:144万円
投資信託
- 金融資産保有世帯:118万円
- 含:金融資産非保有世帯:96万円
財形貯蓄
- 金融資産保有世帯:33万円
- 含:金融資産非保有世帯:27万円
その他金融資産
- 金融資産保有世帯:13万円
- 含:金融資産非保有世帯:11万円
「単身世帯」「二人以上世帯」ともに、「金融資産保有世帯」のみほうが、預貯金以外の金融資産を持っている、つまり資産運用を行っている割合が大きい、ということがお分かりいただけたかと思います。
また、貯蓄がある世帯であれば、「預貯金以外」の金融商品で「お金を増やす」ことができている、という捉え方もできそうですね。
さらにいうと、この貯蓄結果は、現役時代から堅実に預貯金を増やすとともに、継続して資産運用を行ってきた成果でもある、とも考えられる部分でもあります。
つまり、貯金額に差が出る要因の一つとしては、貯金だけではなく、他の金融資産も保有することがポイントであるということが挙げられそうです。