退職金制度の現状

ここまでのお話で、会社員の退職金相場を左右するのは、学歴、そして学歴以上に「勤続年数」ということになりそうだ、ということがお分かりいただけたかと思います。

さて、「私は新卒で入社した会社にずっと勤めているから、老後資金はほぼ退職金でまかなえそうな気がする・・・」と思っている方は、いったん注意が必要かもしれません。

お勤め先に、退職金制度はありますか?

厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」(2018年)によると、退職給付制度がある企業は80.5%となっています。

また、同調査では「企業規模が小さいほど、退職給付制度のない企業の割合が高い」「退職給付制度がある割合は業種間で差がある」という結果も出ています。

退職金給付額の平均、20年で「1000万円以上ダウン」

さらに、金融審議会のレポートによると、平均退職給付額(全規模)は1997年時点では3203万円でしたが、2017年は1997万円という結果に。この20年で1000万円以上低下しています。

同時に退職給付制度自体を設けていない企業の数も増加している、ということが示されています。

転職や独立などでキャリア・収入アップを図る人が増えたこんにち。

従来の「終身雇用」を柱とするシステムの下で機能してきた退職金制度の存在自体を見直し始める企業は増えていくことでしょう。

また、働く側からみても、今後就職・転職をする際の条件として、勤続年数に大きく左右されやすい退職金を重視する必要性は薄れていくのではないかと思います。

とりわけ、30代、40代といった若い世代のみなさんにとっては、「老後資金も会社頼み」という発想から脱却するフェーズにきているのかもしれませんね。