「老後資金」を考える
先ほどから見てきたとおり、60代の金融資産額の平均から借入額の平均を差し引くと、1540万円となりました。
金融庁のレポートに端を発した「老後2000万円問題」。この「2000万円」には少々足りない、という結果となります。
ただし、こちらはあくまでも平均値。一部の富裕層や、相続・贈与などがある人も含めたデータです。
先述の金融資産額の世帯分布をご覧いただいて分かるように、貯蓄が100万円未満の世帯の割合が21.8%である一方で、3000万円以上の世帯の割合は19.6%。この「老老格差」ともいえる二極化が見られることは無視できないでしょう。
生活保護を受ける方は高齢者層に多い、という現状も、こうした高齢者の資産格差を如実に表すものの一つである、と考えてよいでしょう。
60代以降は、定期的な収入が減ったという理由から、貯蓄の取り崩しを余儀なくされる人も増えていきます。
ライフスタイルや家族構成、現役時代の収入など、その背景、事情は人それぞれです。
とはいえ、老後生活の入り口ともいえる60代の時点でどのくらい資産を準備できているかは、現役世代の「お金に対する意識」が大きく影響している可能性は否定できないといえそうです。
人生100年時代はすぐそこに来ています。
ゆとりあるセカンドライフを実現させるためには、若いうちからコツコツと資産形成に取り組むことが大切といえるでしょう。
ご参考
総務省の家計調査報告(貯蓄・負債編)の用語の解説によると、貯蓄とは、
ゆうちょ銀行,郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構,銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金,生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式,債券,投資信託,金銭信託等の有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価,債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と,社内預金,勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいう。 なお,貯蓄は世帯全体の貯蓄であり,また,個人営業世帯などの貯蓄には家計用のほか事業用も含める。