60代、本当はいくらの貯金があれば安心か
2019年に話題となった「老後2000万円問題」というワードが、多くの方の記憶にまだ残っているかと思います。
老後の生活費は年金収入だけでは不足し、毎月の生活費の赤字部分を総額にすると約2000万円になるということでした。
金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」によると、この上記の家計のモデルケースは、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯です。
この問題が厄介なのは、老後を迎える際に2000万円を持っていれば安心かというと、そうとも言い切れないところです。
老後2000万円問題には考慮されていない点があります。
例えば、介護費用。上述したモデルケース世帯の収支には介護費用が含まれていません。
実際に介護費用が必要となればいくらかかるのでしょうか。
介護費用の一例として、「LIFULL介護」から「介護付き有料老人ホーム」の相場料金を確認してみましょう。
有料老人ホームの場合
- 入居時費用の相場:540万円
- 月額費用の相場(入居時費用有り):22.5万円
- 5年間費用の合計:1890万円
5年間という期間は、入居されてから退去されるまで(亡くなるまで)の平均的な年数になっています。
金額は全国平均ですから、都心部にお住まいの方は数千万円以上の高額な施設もあります。ここまでの費用はかけるつもりはないにしろ、入居費用等の地域差は大きそうです。
ちなみにサ高住と呼ばれる、サービス付き高齢者向け住宅でも、上記と同じように計算すると5年で1010万円の費用がかかります。
数千万にのぼる介護費用を老後2000万円の上乗せとして準備しないといけない可能性も高そうです。
2000万円だけの準備だと、少し心許ないということを覚えておいた方がよいかもしれません。