将来もらえる金額、本当はいくらか

厚生年金と国民年の受給額から、年金の大体のイメージはつかめたと思います。

それでも年金への不安を拭いきれないのは、少子高齢化社会を迎え、今後の年金受給額が減らされるというイメージをお持ちだからではないでしょうか。

厚生労働省は人口や経済の動向から、少なくとも5年ごとに「財政検証」で年金財政の健全性を検証しています。

厚生労働省の「国民年金及び厚生年金に係る 財政の現況及び見通し -2019(令和元)年財政検証結果 -」から、現在の所得代替率の結果は、61.7%と公表されています。

所得代替率とは、公的年金の給付水準を示す指標です。

「夫が賞与含む平均的年収の月額換算42.8万円で40年間就業し、妻がその期間ずっと専業主婦だった世帯」をモデル世帯として年金額を計算しているのですが、2019年の年金額は約22万円の前提となっています。

所得代替率の計算は、上記モデル世帯の年金を現役男子の平均手取り収入額で除して求めます。

計算してみますと、61.7%となります。

これが何を意味するかということですが、現在の年金受給者の年金額(22万)は、現役世代の月収の約6割程度ということを示しています。

つまり、現役世代の収入の約6割の年金を受け取っているということです。

これを踏まえて以下を見ていきましょう。

厚生労働省は今後の動向により、いくつかのケース別に検証をしています。

最も楽観的なケース(物価上昇率2%、賃金上昇率1.6%、経済成長率(実質)0.9%)

  • 2040年にモデル世帯の年金額22万円から25万円に上昇
  • 所得代替率は54.3%に下落

最も悲観的なケース(物価上昇率0.5%、賃金上昇率0.4%、経済成長率(実質)-0.5%)

  • 2040年でモデル世帯の年金額は19.9万円に下落
  • 所得代替率は51.3%に下落

上記は最も楽観的、悲観的の2ケースですが、どのケースも現役世代の手取りと比較すると、老齢世帯がもらえる年金額は現状の6割よりも少ない54.3%や51.3%となっていることがわかります。

この楽観的、悲観的の2ケースの間に他ケースのシュミレーションも行われているのですが、いずれの場合も所得代替率は減少となっていました。

人口や経済の動向にもよりますが、やはり年金には期待できないと思われた方は、年金だけに頼らずに自分自身で年金を作っていくことを考えることが大切かもしれません。

国の税制優遇制度である個人型確定拠出年金(イデコ)を始める人も増えています。

また、保険などでも個人年金商品や外貨建保険など、保険の機能も含め、将来への積み立てとして活用できる金融商品が充実しています。

上手に活用していけると良いですね。