年金の「繰上げ」「繰下げ」受給はどのくらいの人が利用中?
このような割増額となる「繰下げ受給」が気になりますが、「繰下げ」「繰上げ」制度はどのくらいの割合で利用されているのでしょうか。
冒頭の「令和元年(2019年)度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、みなさんの選択状況をみてみましょう。
新法厚生年金保険(老齢厚生年金)受給権者の繰上げ・繰下げ受給状況(2019年度)
- 繰上げ…0.4%
- 本来…98.8%
- 繰下げ…0.8%
国民年金 受給権者の繰上げ・繰下げ受給状況(2019年度)
- 繰上げ…12.3%
- 本来 …86.3%
- 繰下げ…1.5%
※旧法老齢年金(5年年金を除く)・旧法通算老齢年金の受給権者と新法老齢基礎年金の受給権者を対象
受給時期を早める「繰上げ」受給の割合は国民年金で10%を超えています。しかし割増しになる「繰り下げ」受給は、厚生年金・国民年金ともに現在のところ約1%前後にとどまっているようです。
さいごに
年金受給額が割り増しとなる「繰り下げ受給」は、長生きするほどメリットを享受できます。とはいえ、直前の「繰上げ・繰下げ受給状況」のデータを見る限り、老後資金の不安からか、実際にはなかなか選択しにくいというのが実状かもしれませんね。
また、いったん繰下げ請求した場合、取り消しができません。利用を考えたときにはご自身の健康状態や資金状況などをじゅうぶんに考慮することが安心につながります。
公的年金だけでは心もとない、と感じる場合は、個人年金保険、iDeCo、つみたてNISAなどを活用した資産形成で老後に備えていく、という方法を検討してみるのもおススメです。
人生100年時代はすぐそこに来ています。
長い老後を見据えた「お金の準備」は先手先手で進めていかれることをおすすめします。
「金融商品って色々ありすぎてどれを選べばいいのか分からない」「投資って元本保証ではないから不安」といったイメージをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
お金の貯め方・増やし方のコツがなかなか見つからない、と感じたら、一度資産運用のプロに相談する手もあります。あなたとご家族のライフスタイルにあった、無理のない「お金の増やし方」を見つけるヒントが得られるかもしれません。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(令和2年12月)
- 日本年金機構「国民年金保険料」
- 日本年金機構「新たに年金を受けとれる方が増えます(受給資格期間25年→10年)」
- 全国健康保険協会「標準報酬月額・標準賞与額とは?」
- 厚生労働省「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」(「(4)受給開始時期の選択肢の拡大」より)
- 日本年金機構「老齢基礎年金の繰下げ受給」
- 日本年金機構「66歳以後に老齢年金の受給を繰下げたいとき」