年金の「繰下げ受給」はこんな仕組み
そこで今回のお話の本題、「繰下げ受給」のしくみについてお話していきましょう。
老齢年金の受給開始は「原則65歳」からです。この受給開始を66歳以降に先延ばしにする「繰下げ受給」の制度を利用することで、受け取れる年金額を増やすことができます。
現在は最長70歳までの延期が可能であり、最大で42%のアップ。さらに2022年4月以降は75歳まで繰り下げできるようになり、最大で84%もの割り増しが可能となります(※)。
※厚生労働省「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」
「繰下げ請求時の年齢と増額率」
1941年(昭和16年)4月2日以後に生まれた方
- 66歳0カ月~66歳11カ月・・・8.4~16.1%
- 67歳0カ月~67歳11カ月・・・16.8%~24.5%
- 68歳0カ月~68歳11カ月・・25.2%~32.9%
- 69歳0カ月~69歳11カ月・・・33.6%~41.3
- 70歳0カ月・・・42.0%
出典:日本年金機構「老齢基礎年金の繰下げ受給」
増額率は月単位で「繰下げ月数×0.7%(0.007)」が適用され、その増額率は一生キープされます。
さらに、2022年4月からは
昭和27年(1952年)4月2日以降に生まれた人に限り、最大で[繰下げ月数×0.7%]×10年(×12か月)=84%
が適用されます。
年金の繰下げ請求をする場合は、「老齢基礎年金・老齢厚生年金支給繰下げ請求書」等の書類を提出して手続きを行ないます。(※)
※日本年金機構「66歳以後に老齢年金の受給を繰下げたいとき」
「繰上げ」「繰下げ」受給の特徴
老齢基礎年金(国民年金)と老齢厚生年金の両方を受給できる人の場合、受取り時期を早める「繰上げ受給」では両方とも繰り上げる必要があります。
一方、受給額が割り増しとなる「繰下げ受給」では、どちらか片方、または両方を選択して繰り下げることが可能です。