PPAPに代わる手段はあるか

先述の大泰司氏の発表資料によると、PPAPのメリット・デメリットは下記のとおりです。

〇 送信側にとっては、手軽。
〇 2通目を自動で送らなければ、誤送信防止にはなる。
× 受信側のマルウェアフィルタをすり抜ける。
× 受信側は、パスワードを探して入力して開く。 効率が悪い。
× そもそも、2通目にパスワードを送るのであれば、 秘匿性なし。

つまり、PPAPは「送信者側」にメリットがあるからこそ継続されているとも言えます。

したがって、頭ごなしの一律禁止は有効ではありません。根本的な対応策としては、送信者側が楽に対応でき、セキュリティを担保できる代替案が必要になります。

具体的には、オンラインストレージ(Google Driveなど)・電子契約サービス・グループウェア・コラボレーションツール(Slackなど)を利用する……あたりは比較的扱いやすい代替案です。

特に、オンラインストレージを利用する場合、流出が発覚した段階で公開範囲を制限したり、リンクを無効にしたりすれば機密が守られますし、パスワードを別送する必要もありません。

ただ、この代替案も「マルウェア感染のリスクが下げられる」だけであって、情報漏洩に対する対策としては不完全です。どのような方法であっても、人為的なミスで機密情報を流出させてしまう可能性は防ぎきれないからです。

万能なセキュリティ対策はありません。最終的に企業の機密を守るのは、各企業の運用と、企業に所属するスタッフの意識付けなのかもしれません。

参考資料

當瀬 ななみ