全ての経済的困窮がコロナ禍の影響とは言い切れませんが、やはり、今回の一連のコロナ禍による影響が大学生に広く及んでいる可能性は高いと考えられます。
コロナ禍の本格的な影響はこれから
もう一つ気になる点は、休学者数の大幅減少です。
休学者も経済的困窮が大きな理由となるケースがありますが、休学する理由の第1位は「海外留学」が恒常化しています。最近は、海外の大学との交換留学制度を拡充したり、休学して海外留学することを奨励したりする大学も多く見られます。そして、こうした海外留学を大きな目的として入学する学生も増加してきました。
しかしながら、コロナ禍の影響で新規の海外留学は相次いで中止に追い込まれたのはご存知の通りです。ちなみに、海外留学を理由とする休学者数は令和1年の11,024人から令和2年は4,832人へ激減しました。さらに、海外留学の再開の目途が立たないケースも多く、夢破れた学生の多くが退学する懸念も残ります。
今回の文科省の調査は、昨年10月に実施されましたが、その後に緊急事態宣言が再発出されるなど、大学生を取り巻く環境はさらに悪化していると推察されます。したがって、今回の調査結果は、コロナ禍における“途中経過”に過ぎません。コロナ禍における直接的・間接的な影響がどこまで及ぶのか、今後も文科省の調査結果に注視していきたいと思います。
葛西 裕一