昨年は中退者数、休学者数とも前年を下回る

ところで、今回の調査結果には興味深い点もあります。

まず、中退者数、休学者数ともコロナ禍の影響を大きく受けた令和2年は、前年より減少していることです。普通に考えると、コロナ禍で経済的困窮が増えたり、定例化しつつあるオンライン授業に馴染めなかったりするなど、コロナ禍の影響が皆無だった前年より大幅に増えても不思議ではありません。

ちなみに、コロナの影響が理由と判明しているのは、いずれも令和2年のみで、中途退学者:1,357人(うち学部1年生は470人)、休学者:4,434人(同859人)でしたから、コロナの影響を除外すると、中退者も休学者も大幅に減少していることになります。

実質的には経済的困窮が大幅増加?

文科省の調査結果によれば、この大きな理由の1つとして、各大学等において後期分の授業料の納付猶予や、国の制度によらない独自の授業料等減免を実施していることが挙げられています。

同調査によれば、全体の98.5%の大学等において、後期分の授業料の納付猶予を実施し、さらに、全体の74.0%の大学等において、経済的に困難な学生を対象とした各大学等による授業料等減免を実施している模様です。多くの大学(特に私立大学)で厳しい財政状況が続く中、こうした経済的支援に踏み切っていることは注目に値します。

一方で、これだけ大学側が支援しても、依然として「経済的困窮」が中退者数の第1位の理由になっていることも見逃せません。逆に言うと、経済的困窮に陥っている学生数は想像以上に多いと見ていいでしょう。