確定拠出年金加入者数、20年で1000万人突破か

2021年は日本に確定拠出年金(DC)が導入されて20年になる記念の年です。この20年間で確定拠出年金の加入者は924万人強に拡大しました。

そのうち企業型DCの加入者は2020年9月末で748.8万人、個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者は2020年10月末で175.6万人です。特にiDeCoは2017年に加入対象者が公務員や第3号被保険者にも拡充されたことから、2016年12月と比べて、わずか3年で140万人以上も増加しています。

このペースが続けば、2021年中にも1000万人を突破するかもしれません。

企業型DCの加入率は横ばい

ところで会社員・会社経営者、公務員を対象としたビジネスパーソン1万人アンケートでは、企業型DCとiDeCo、それぞれに加入しているかどうかを聞いています。

回答者全体に対するそれぞれの加入者数の比率をここでは「加入率」として算出していますが、2020年の企業型DCの「加入率」は26.5%でした。残念ながら2015年くらいから横ばいに推移しています。採用企業数の増加が加入率上昇のカギを握っています。

一方、iDeCoの「加入率」は、2013年以降調査を行っています。2013年はわずか3.7%でしたが、毎年少しずつ上昇を続け、2017年の加入者範囲の拡充を受けて2018年には初めて2ケタとなりました。そして2020年には14.2%に達しています。

今後は、制度改正によって企業型DCとiDeCoの併用も広がることでしょうから、iDeCoの加入率はさらに高まると予想されます。もしかすると、それほど遠くないうちにiDeCoの加入率が企業型DCの加入率を上回るかもしれません。

iDeCoがDC認知率を牽引

というのも、認知率の動きがそれを象徴しているように思えるからです。アンケート回答者に、「確定拠出年金を知っているか(こちらは確定拠出年金全体として聞いています)」を聞くと、知っていると回答した人の比率、すなわち「認知率」は2013年に36.7%のボトムを付け、そこから上昇に転じています。

そして2018年には50%を上回り、2020年には56.5%にまで高まりました。この7年間で20ポイントも上昇したことになります。

その原動力となっているのがiDeCoのようです。iDeCoを明示して「知っているか」を聞いた設問を使ってiDeCoの「認知率」を計算すると、初めて行った2018年の調査でも41.8%とかなり高い水準でしたが、その翌年には5割を超え、2020年の調査では57.8%となり、確定拠出年金全体の認知率と並ぶ水準となりました。

iDeCoが確定拠出年金全体の「認知率」を引っ張り上げているのがわかります。

2021年もiDeCoから目が離せない年となりそうです。

 

合同会社フィンウェル研究所代表 野尻 哲史