「おひとりさま」――もともとは一人で飲食店などに来店するお客をこう呼ぶことが多かったのですが、イマドキは「結婚しないライフスタイルを選んだ人」というポジティブなイメージが定着した感があります。
集英社の「情報・知識&オピニオン imidas」によると、「おひとりさま」は、ジャーナリストの故・岩下久美子さんが、「おひとりさま向上委員会(1999年設立)」で「一人の時間を楽しむ自立した女性のあり方」として提唱して以降、市民権を得た言葉のようです。
国立社会保障・人口問題研究所の資料によると、2015年、50歳の時に結婚歴が一度もない人の割合は女性で14.06%、男性で23.37%。1990年以降、男性のほうが高い傾向は変わらないのですが、その数字は男女ともに右肩上がり。
さて、みなさん老後は生活にどのくらいお金が必要なのか把握できていますか?世帯持ちには世帯持ちの、おひとりさまにはおひとりさまの不安があるでしょう。
今回は、おひとりさま女性の老後のお金、とりわけ「厚生年金・国民年金」にフォーカスしてお話していきます。
厚生年金に加入していた場合
まずは、民間企業の会社員だった人が受け取る「厚生年金」についてみていきましょう。
厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業年報」では、厚生年金保険(第1号)の老齢年金の年金月額階級別受給権者数令和元年度(速報版)として、受給権者数と年金月額を以下のように示しています。
厚生年金保険(第1号)の受給権者数…1599万人
うち男子1066万7000人、女子532万人
平均年金月額…14万4268円
- 男子16万4770円
- 女子10万3159円
女子の平均は、男女の平均より4万円ほど下回る約10万円という結果に。
さらに実際の受給額は人によっても大きな差があります。次では、厚生年金保険(第1号)受給権者の、男女の平均の老齢年金の年金月額の分布をみていきます。
老齢年金の月額分布:厚生年金保険 第1号(男女)
30万円~:1万8000人
29~30万円:1万2000人
28~29万円:2万5000人
27~28万円:4万8000人
26~27万円:8万人
25~26万円:12万8000人
24~25万円:20万人
23~24万円:29万6000人
22~23万円:43万人
21~22万円:60万8000人
20~21万円:77万8000人
19~20万円:90万6000人
18~19万円:97万7000人
17~18万円:100万4000人
16~17万円:97万2000人
15~16万円:92万3000人
14~15万円:89万3000人
13~14万円:88万1000人
12~13万円:91万3000人
11~12万円:100万2000人
10~11万円:110万7000人
9~10万円:112万4000人
8~9万円:94万1000人
7~8万円:68万7000人
6~7万円:39万1000人
5~6万円:17万4000人
4~5万円:13万人
3~4万円:12万4000人
2~3万円:7万2000人
1~2万円:2万1000人
~1万円:11万9000人
男女あわせた数字ではありますが、ご覧のようにかなりの幅があります。なかには5万円未満のケースも。月給比例部分である報酬比例部分の影響があるため、年金の受給額は一概には言えないのが現状です。
ご参考
企業年金連合会は2015年10月に旧共済年金が厚生年金に統合された際、以下のように示しています。
- 旧共済年金の加入者…第2号厚生年金被保険者(国家公務員共済)
- 第3号厚生年金被保険者…地方公務員共済
- 第4号厚生年金被保険者…私立学校共済