「孤独死リスク」が賃貸契約の壁。単身高齢者の増加で住居問題が深刻に

単身高齢者への賃貸住宅契約は、孤独死リスクが大きな壁に

一方で、家主の立場になって考えると、一人暮らしの高齢者へ貸すことに躊躇せざるを得ません。仮に、連帯保証人がいたとしても躊躇する最大の理由は、いわゆる孤独死リスクがあるからです。

家主から見た“孤独死リスク”とは何でしょうか?

一般に、孤独死が早期に発見されるのは稀で、少なくとも死後数週間を経過した時が多いと言われます。その際、現実問題として、遺体から発された体液が染み込んだ部屋は、とても使用できる状態にはありません。専門業者にしかできない特殊洗浄が必要になり、多額の費用がかかります。

しかも、現在の民法では、自殺でない場合、遺族や連帯保証人に対して損害賠償の請求ができません(一部は上限)。

「孤独死時代」に向けた保険や社会保障の整備が急務

昨今、こうした社会情勢に合わせた家賃保証や特殊洗浄費用負担など、孤独死保険の類も登場していますが、まだまだ不十分です。今後迎えるであろう「孤独死時代」に備えた様々な社会保障の整備・強化が求められるでしょう。

今回、政府が「孤独・孤立問題」に本腰を入れ始めたことは評価できますが、コロナ禍問題の一環として扱うのではなく、構造的な社会問題として対処すべきです。もし、コロナ禍が収束した後に、政府がこの問題から手を引くようなことがあれば、認識不足も甚だしいと言わざるを得ません。

この記事を読んでいる人の中には、自分には孤独死なんか関係ないと思っている方々も多いと思います。しかしながら、日々の仕事等に追われていると、自身が高齢者に達するのはあっという間です。

直接的にも(自身が高齢になって孤独死)、間接的にも(隣室で孤独死が発見される等)、その影響を受ける日はもうすぐそこまで来ていると言えましょう。

OneMile セミナー

葛西 裕一

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執筆者

国立大学卒業後、国内・外資系の金融機関にて23年勤務後に独立。証券アナリストなどの職務を経験し、ファイナンシャルプランナー関連等の金融系資格を多数保有。専門は株式投資、貴金属投資、年金、相続、不動産。