テレワークのその先の世界とは
最後に少し大きな視点で考えてみます。テレワークは「大企業」×「都市部」×「高収入層」で加速しています。このレイヤーで進行しているもうひとつのトレンドが「ジョブ型」の働き方です。
日立製作所、資生堂、富士通、KDDIなどが、職務を明確にして年齢や年次を問わずに適切な人材を配置する「ジョブ型」への移行を加速させています。
要は日本型の働き方は、もう限界で、グローバルなカタチへの変貌を迫られているのが実情である気がします。テレワークへの順応を求められるのも、日本型の働き方への決別の意味でとらえることもできます。
ここで窪田氏の主張する「そんなことは日本企業にはムリ」というのは、その通りだと思います。たしかに「全ての日本企業」ではムリでしょう。しかしながら、できない企業は市場退出するしかない時代も、そう遠くはないのかもしれません。
どうも日本では、そのような話がタブーになっている気がします。たとえば経産省の言う「DX/2025年の崖」問題も、本来“崖"と言うならば、そこから転げ落ちる(市場退出する)企業が多数あってもおかしくありません。それでこそ、社会の新陳代謝が進むのでは、とも思います。
もしかするとテレワークは、そのような新しい世界の入り口なのかもしれませんね。いろいろと煩わしく慣れないテレワークですが、「順応するしかないか」と思う今日この頃でした。
参考資料
- 第四回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査(パーソル総合研究所)
- 第2回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査(内閣府)
- 「出勤者7割削減」なんて無理な呼びかけは、やめたほうがいい理由(ITmediaビジネスオンライン)
榎本 洋