バイデン大統領は今月上旬行った外交演説のなかで、同盟国は米国の最高の資産と位置づけ、具体的には、カナダ、メキシコ、英国、フランス、ドイツ、日本、韓国、オーストラリア、北大西洋条約機構(NATO)の名前を挙げた。

トランプ前大統領と違い、バイデン大統領はこういった同盟国との関係を重視し、多国間で中国に対抗していこうとする。では、実際、今後どれほど対中けん制網は形成されるのだろうか。

中国への不信感を高める英国、インドの動き

まず、新型コロナウイルスの感染拡大も影響し、英国は中国への不信感を非常に高めている。

英国のラーブ外相は1月12日、中国による新疆ウイグルでの人権抑圧を非難し、強制労働などとの関係が疑われる商品の中国からの輸入を禁止する方針を明らかにした。

ラーブ外相は昨年2月、EUからの離脱後初の外遊先として日本とオーストラリア、インドとシンガポールを訪問しており、インド太平洋構想への参加にも意欲を見せている。

英国は今年のG7先進国首脳会合の議長国であるが、韓国とオーストラリア、インドを招待し、10カ国で会談を行う計画も明らかにしている。

また、オーストラリア、そして、今回の外交演説では含まれなかったがインドも中国への不信感を高めている。

昨年10月、東京では日本、米国、オーストラリア、インドの4か国外相による安全保障会合「クアッド会議」が開催されたが、会議に出席したポンペオ前国務長官は冒頭から中国を強く非難するなど、クアッドは対中けん制網の急先鋒的な色が濃くなっている。