昨年は中印国境での衝突もあり、これまで中国の顔色を窺っていたインドも中国への不信感をこれまでになく高め、米国やオーストラリアなどへの接近を図っている。最近も、バイデン大統領とモディ首相が電話会談し、両国の関係を強化していくことで一致した。
対中依存度の高い韓国は難しい立場に
しかし、各国の思惑が完全に一致しているわけではない。たとえば、韓国は非常に難しい立場にある。
韓国の文在寅大統領は1月下旬、中国の習近平国家主席と電話会談したが、習氏は、北朝鮮は米国や韓国との対話によって問題を解決する意志を持っているとし、南北間や米朝間の対話を支持すると伝えたという。
また、韓国経済の対中依存は非常に強いことから、文大統領も中国を必要以上に刺激し、国内経済が大きなダメージを受けることを回避したい。
それも影響してか、韓国は上記のクアッド会議にも参加しておらず、おそらく今後もクアッドの枠組みには参加しない可能性が高い(来年の韓国大統領選挙の結果で変わってくる可能性もある)。
以上のように、各国の対中イメージが悪化していることは間違いない。しかし、実際、各国の中国経済への依存などを考えると、果たしてどこまで対中けん制で共同歩調を取れるのかという現実的な問題もある。
和田 大樹