こうして政府の持つ個人情報が様々な行政機関に共有されることに対しては、「気持ち悪い」と考える人もいるようです。しかし筆者は、「個人情報を政府が持つこと」についての気持ち悪さと「政府が持っている情報を効率的に利用するべきこと」は分けて考えるべきだと思います。
「誰がどの不動産を所有しているのかを政府に知られたくない」のであれば、不動産登記という制度を廃止するしかありませんが、それは別の大きな問題を引き起こすでしょう。そうであれば、誰が不動産を所有しているのかを政府に知られること自体は仕方ないと思います。
あとは、「政府の一部署が知った情報を他部署に教えず、セクショナリズムで非効率に政府の仕事を遂行すべき」なのか、「政府の一部署が知った情報は政府全体で共有して効率的に政府の仕事を遂行すべきなのか」という話ですね。前者と後者の比較だとすれば、当然後者だ、と筆者は考えています。
本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。
参考資料
「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案」(法務省)
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塚崎 公義