2020年10~12月期のFPD(Flat Panel Display)露光装置の販売台数は、ニコン、キヤノンの主要2社で33台となり、前年同期比で2倍以上に増加した。30台以上を記録したのは、19年1~3月期以来7四半期ぶり。だが、上期を中心に新型コロナに伴う渡航制限などで据え付け・立ち上げ作業の延期を余儀なくされたことで、20年通年の販売台数は両社合計で52台にとどまった(19年実績は90台)。

ニコンは年間20台に半減

 ニコンは、20年10~12月期に前年同期比2倍の12台を販売した。内訳は、10.5G用が7台、7/8G用が2台、5/6G用が3台。据え付けが前倒しで進み、前年同期比で増収増益を達成したが、上期の渡航制限などの影響によって、年間ベースの販売台数は19年の40台から20年は20台に半減した。

 中小型パネル用の設備投資は回復基調で、大型パネル用も堅調に推移しているため据え付け作業がさらに進む見通しであり、20年度通期(21年3月期)の販売台数見通しを当初の22台から28台へ上方修正した。内訳は、10.5G用が14台、7/8G用が5台、5/6G用が9台。これにより21年1~3月期は11台(10.5G用3台、7/8G用3台、5/6G用5台)の販売を見込むことになる。

キヤノンは年間で32台

 20年10~12月期にキヤノンは前年同期比2倍以上となる21台を販売した。下期の渡航制限解除後に設置再開を急いだ。これで年間の出荷台数は32台まで伸びたが、19年の50台からは大きく減少した。

 21年については、引き続きFPDメーカーの投資意欲は旺盛なため、日本からの渡航の体制を整え、設置要員の現地化も進めて、前年比で倍増以上となる68台の販売を目指す。

 ちなみに、20年11月には6G対応露光装置の新製品として、解像力1.2μm L/Sを実現した「MPAsp-E903T」を発売した。初めてDUV(深紫外=290~380nm)波長を発光する新光源を搭載し、位相シフトマスクなどの超解像技術によって解像力1.0μmの露光も可能にした。

キヤノントッキの蒸着装置は増収

 一方、グループ会社のキヤノントッキが手がけている有機EL蒸着装置に関しては、渡航制限で設置作業が一時中断したものの、再開後は渡航日程や要員の調整をきめ細かく行ったことで増収を達成した(前期=19年12月期の売上高は765億円)。今後も圧倒的なシェアを維持していくために高精細技術をさらに高め、大型パネル向け装置の開発を進めていく。設置要員のスキル向上や設置作業の工数低減などにも注力していく。

電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏