約2割の企業で「退職給付制度」がない

ここまで見てきた退職給付金の制度には「退職一時金制度」と「退職年金制度」があります。しかし、先述の「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」によると、この制度がある企業は全体の80.5%にとどまるのです。

残り約2割の「退職給付制度がない企業」の企業規模ごとの割合を見ると、企業規模が小さくなるにつれて割合が高い傾向にあることが分かります。

企業規模別「退職給付制度がない企業」

  • 1,000人以上:7.7%
  • 300~999人:8.2%
  • 100~299人:15.1%
  • 30~99人:22.4%

ここで東京都内の中小企業のデータ(※5)を見てみると、従業員が10~299人の東京都内の中小企業(集計1,407社)のうち、退職金の制度そのものがない企業は294社(20.9%)となりました。

都内だけみても、300人以下の企業の約2割に退職金制度がないということになります。

退職金の額には総じて学歴が大きく影響することが分かりましたが、このように退職金制度のない企業が一定数存在し、企業規模1,000人以上の企業でも7.7%で制度がないという点に注目すべきだといえます。

2019年に老後資金2000万円問題で話題となった金融庁の『金融審議会 「市場ワーキング・グループ」報告書(※6)』でも、退職金の給付額についての指摘があり、いわゆるバブル経済期の1992年当時と比較して全体平均で約3~4割程度減少していることが報告されていたのです。

【参照】