国立大学授業料の”格安感”はもうない?
物価変動率などを考慮する必要があるので、30~40年前と単純比較するのは適切ではありませんが、授業料がほぼ一貫して上昇していることは確かです。この授業料を4年間支払うことになる家計の経済的負担は大変厳しいものがあるでしょう。
まず注目したいのが国立大学の授業料です。さすがに私立大学よりは安いものの、一昔前のような“格安感”は消失しています。
これは、国の財政難を受けて財務省(以前は大蔵省)が値上げに踏み切ったことが要因と言われていますが、単純な上昇率だけを見れば、私立大学を上回っています。国立大学に入れば経済的負担が小さいというのは、現在では、私立大学との比較相対的な話と言っていいでしょう。
国立大学の授業料は15年間据え置きだが
国立大学でもう一つ注目したいのが、近年の授業料の据え置きです。
これは、2005年度から国立大学法人化制度が始まり、各国立大学が、国の定める標準額を基準にして自由に決定することができるようになりました。したがって、現在の53万5千円は国が定めた標準額なのですが、実際にはほとんどの国立大学がこの標準額を授業料にしているようです。
53万5千円が高いか安いかは議論があるとは思いますが、15年間も値上げしていないという事実は見逃せません。
また、国立大学の授業料据え置きは、私立大学にも少なからず影響を与えていると見られます。2005年度に始まった国立大学法人化まで、国立大学の授業料値上げは“国私間の格差縮小”となって、私立大学側に追い風だったと考えられます。