イスラム国とバイデン大統領の因縁。ISのテロ再拡大リスクも

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バイデン政権が誕生した翌日の21日、イラクの首都バグダッドの商業地区で2回にわたる自爆テロが発生し、これまでに32人が死亡、100人以上が負傷した。

イラク当局によると、ある人物が市場に駆け込み体調不良を訴え、周囲に人が集まった瞬間に自爆し、さらに、その爆発による被害者たちに人々が集まったところで2回目の爆発が起こったという。近年バグダッドの治安は安定しており、こういったテロ事件は3年ぶりである。半日後にはイスラム国(IS)が犯行声明を出した。

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バイデン政権発足直後の惨事

この事件は、明らかに計画されたテロ事件だ。

1人目の自爆犯が体調不良を訴え、人々が集まった瞬間に自爆し、その後、爆発による被害者たちに人々が集まったところで2人目が自爆したということからは、2人目は多くの市民が集まる場所(時間帯も)を意図的に選定し、できるだけ多くの犠牲者を出す方法を頭の中で描いていた可能性が高い。

また、タイミングも重要なポイントだ。

テロの前日には米国でバイデン政権が発足したばかりだ。近年ISの弱体化が指摘されるなか、ISとしては規模の大きなテロを実行することで、イラクからの軍撤退を進める米国を政治的にけん制する目的があったようにも思われる。

トランプ政権だろうがバイデン政権だろうが、中東から欧米の影響力を排斥し、厳格なシャリーア(イスラム法)によるイスラム国家の建設を目的とするISにとって米国は主たる敵である。

ISによるテロは続いている

ISは日本国内で議論されることはほぼなくなったが、イラクやシリアでは依然として小規模ながらもテロ攻撃を継続している。今回のように、バクダッドでテロを起こすのは久々だったが、モスルやキルクークなどの北部、バグダッド周辺の県、またイラクとシリア国境などではISよるテロは継続的に発生している。

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執筆者

清和大学講師/ オオコシセキュリティコンサルタンツ アドバイザー、岐阜女子大学特別研究員、日本安全保障・危機管理学会主任研究員を兼務。専門分野は国際政治学、安全保障論、国際テロリズム論。日本安全保障・危機管理学会奨励賞を受賞(2014年5月)。共著に『2021年 パワーポリティクスの時代―日本の外交・安全保障をどう動かすか―』(創成社)、『テロ、誘拐、脅迫 海外リスクの実態と対策』(同文館2015年7月)、『「技術」が変える戦争と平和』(芙蓉書房2018年9月)など。研究プロフィールはこちら