年収1000万円でも貯蓄できない事情とは
1000万円もの年収を得ているにもかかわらず、貯蓄が少ない世帯が存在する原因はどこにあるのでしょうか。その背景には、「教育費」や「税金・社会保険の負担」による影響があるようです。
先ほどの総務省の家計調査報告では、年収1000万円の世帯の世帯主の平均年齢は、以下のように示されています。
- 年収1000万円~1250万円世帯…平均50.2歳
- 年収1250万円~1500万円世帯…平均50.9歳
- 年収1500万円以上の世帯…平均51.8歳
そして、18歳未満の人が1名いるかいないかというデータも。となると、大学進学を控えた子がいる家庭が多いと考えられます。
私学や医歯薬学系への進学、自宅外通学といったケースになれば、子ども1人あたり1000万円以上の費用がかかる可能性もあるでしょう。
また、世帯年収が1000万円以上だと、児童手当や高校授業料の無償化制度などの所得制限をオーバーしてしまいます。大学進学前の教育費の負担が重くなってしまうことになりますね。
さらに、税金や社会保険金の負担も侮れません。日本の所得税は所得が高いほど税率が上がる累進課税となっており、住民税や社会保険も所得額が多いほど高くなります。こうした事情を踏まえると、年収1000万円世帯が思うように貯蓄できないのも、無理はないのかもしれませんね。
さいごに
お金に余裕がありそうな年収1000万円世帯ですが、高収入であるがゆえに、教育費や税金・社会保険の費用が膨らみやすいという一面も。
これらの出費をやりくりしながら、老後資金を捻出する必要があります。
たとえ現役時代に高収入であっても、老後のお金が不足する状態であれば不安でしょう。長期的な収支のバランスをみつつ、マネープランを練っていきたいものです。
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査(貯蓄・負債)-2019年(令和元年)平均結果-(二人以上の世帯)」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)令和元年」
LIMO編集部