日本は努力が報われる社会

批判を恐れずにいえば、筆者は日本は世界的に見て、比較的努力が報われやすい社会だと思います。

日本社会は大企業が0.3%、中小企業が99.7%で構成されており、ほとんどの社会人は中小企業に就職して働くことになります。これは一部の財閥や超大企業が社会を動かす国とはかなり違う構造といえます。また、日本での中小企業における出世や待遇は学歴より、仕事ができるか?上司や同僚から信用を得ているか?が重要なファクターではないでしょうか。

仕事の実績や信用を得るには、入社した後の個人の行動で決まるもの、つまり「努力で切り開く社会」と考えます。

また、筆者自身が身を持って「日本は努力が報われる社会」と感じているところもあります。中学高校は不登校で、23歳までニートとフリーターで過ごしてしまいました。当時は「自分の人生は終わった…もう取り返しがつかない」と本気で人生に絶望していました。

その後、勉強の必要性を理解したことで、大学進学を決意しました。独学で英語力を身に着け、国内の大学に入学、その後は米国大学に会計学専攻で留学しました。米国から帰国して外資系企業に就職、そこでは英語力と会計の専門スキルを活かして働きました。採用時、「過去の5年間のニートとフリーター期間が懸念」として、落とされてしまった経験もある一方で、その逆に「フリーターだった立場から、よく頑張りましたね!」とフロンティアスピリットを評価して採用してくれた企業もありました。「採用は学歴やキャリアの実績がすべて」という会社ばかりでなく、過去の努力を認めて採用してくれたという貴重な経験をしたのです。

その後は働きながら起業して、今では会社経営をやっています。自分がその時々でやりたいことを好き勝手楽しくやってこれたのは、日本社会がそのようなレールを外れた活動にも、比較的寛容だったからというのもあるのではないでしょうか。

生まれた身分や家柄、卒業する大学だけで一生が固定化されかねない国がある一方で、日本は比較的自由に生きられる社会だと個人的には思います。「日本は敗者に厳しい」という主張は、他国との水平比較を経てなされるべき議論なのではないでしょうか。

高級フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」代表 黒坂 岳央