続けて、近年の業績を2018年2月期から2020年2月期までの3年間を追って見ていきましょう。
売上高は39.7億円⇒67.1億円⇒85.8億円と拡大傾向で推移しており、利益面では営業利益3.2億円⇒▲9.8億円⇒▲0.8億円、最終利益は1.8億円⇒▲4.6億円⇒▲2.6億円となっています。
2019年2月期の売上高は、非連結から連結会計への移行を伴っているので、全面的に業績の好調さを表すものではありませんが、テレビCMをはじめ積極的に広告を投じることで会員数の拡大に成功しています。
また、「靴」というアイテムに特化し、“自宅で試着、気軽に返品”できる仕組みを提供している点も差別化に寄与しています。
利益面では2年連続で赤字ですが、これは利益を犠牲にしてでも広告宣伝費を確保する戦略によるもので、業績予想の時点から黒字化を狙っていないため特に問題はありません。ユーザーの拡大を狙うIT企業にはよく見られる戦略です。
直近の業績を見ると、2021年2月期第3四半期は、売上高75.1億円(前年同期比18.2%増)、営業利益11.4億円(前年同期は▲1.9億円)、純利益8.4億円(同▲2.1億円)と増収増益となっています。
第1四半期こそ靴の売上げ減少で前年割れとなったものの、第2四半期以降はYouTubeを活用したマーケティング戦略が奏功し、増収に転じました。一方、利益面では、広告関連費が前年の16.8億円から8.7億円に大きく減少したことが寄与し増益となりました。
テレビCMからYouTubeへと広告予算を移したことで、固定費扱いの広告費=前年度6.1億円は88%減の7600億円にまで大幅削減されましたが、新規会員の獲得数は前年と同じ水準を維持できており、広告の費用対効果をめざましく上げる結果となりました。
コロナ下での好業績に株価はいったん上昇するも…
ロコンドの株価は2017年12月の1500円台、2018年末の2000円台を除き、昨年4月までおおむね1000円前後を推移していましたが、コロナ下での成長が注目を浴び、昨年9月には3800円まで上昇しました。しかしその後は減少に転じ、今年1月下旬以降は2000円を下回っています。