近年、フリーランスの活躍が広がっています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大をきっかけに、独立を考えた方もいるでしょう。「【ランサーズ】フリーランス実態調査2020年版」では1年内にフリーランスを開始した人の数が、2019年より8%増加していることも明らかになりました。今回の企画では、フリーランスにまつわるトラブルについて、解説いたします。

出典:「【ランサーズ】フリーランス実態調査2020年版」

質問①:特定の契約書がない、違法か?

私はフリーランスとして活動していますが、基本的には1社から依頼をもらい、ほぼそこのお仕事を行っています。そこでご相談があります。私は毎月、現在の会社から報酬をもらっているのですが、特定の契約書を結んでいません。フリーランスの友人も似たような状況の人が多いです。これは、会社側は違法になるのでしょうか?

回答①:違法とまではいえない

契約はそもそも、口頭でも成立するものです。しかし、のちのトラブルが生じた場合に備える形で契約書が存在するのです。契約書は必ずしも書面にすることが要求されているものでは無く、電子的なものでも構いません。ただし、法が定めているものは例外です。たとえば遺言や保証契約は書面ですることを要求されています。

本件のような業務委託契約書は一応口頭でも成立するので、違法とまでは言い難い状況にあります。

質問②:どんなトラブルに気をつけるべき?対策は?

今のところ、報酬の支払いが遅れるなどの目立ったトラブルはなく関係良好なのですが、もし関係がこじれた際などが心配です。どのようなトラブルに気をつけると良いでしょうか?また、どのような証拠を溜めておくとよいのでしょうか?

回答②:基礎的な部分のコンセンサスを把握する

どのような仕事に対してどのような報酬が定められているのか、が重要です。結局多くのトラブルは不公平感や不均衡が生じていることにより発生しています。また、正社員などの雇用契約とは異なり、業務委託契約は請負契約に近く、どのように時間を使おうと仕事の成果を上げれば良いことになっています。にもかかわらず、たとえば細かな休憩にまで口出しをされるとなると、トラブルになりがちです。

どんな仕事に対してどんな報酬なのか、納期はいつなのか、仕事のやりかたはどんなものなのか、といった、本当に基礎的な部分に対してコンセンサスを形成しておくべきではないでしょうか。

参考資料

齋藤 健博