使い捨てカイロ

使い捨てカイロ開発の歴史も色々とありますが、現在の使い捨てカイロが登場したのは1978年、ロッテ電子工業(現・ロッテ健康産業)の「ホカロン」以降です。今ではダンダン(エステー)、ホッカイロ(興和)、桐灰はる(桐灰化学)、オンパックス(マイコール)、その他ドラッグストア等のPB商品など数多くの商品が発売されています。

また、1988年にマイコールが貼るタイプの使い捨てカイロを業界に先駆けて発売し、成功を収めました。現在ではミニサイズ、靴下用、肩用、座布団サイズなど様々なバリエーションのものが広く使われています。

使い捨てカイロはなぜ温かくなるのか

使い捨てカイロが温かくなる理由を、多くの方は鉄が入っているからと答えます。その通りですが、そこから先、どのようなことが起きるのかについては意外と知られていません。

鉄を濡れたままに放置すると錆びついてしまうことは、みなさんご存知だと思います。鉄(鋼)の包丁やフライパンで経験された方も多いでしょう。

鉄の棒を水に浸して長いこと観察すると、水の中に浸かった部分より、空気との境界部分で最も錆びついていることがわかります。このように、鉄は水の助けにより空気中の酸素と反応して、最終的には酸化第二鉄(Fe2O3)とります。これが赤褐色の錆です(鉄の酸化物にはこの他にも色々な形があります)。

この鉄の酸化反応は基本的に発熱反応(鉄1原子当たり96Kcalの発熱)ですが、錆びるスピードが極めて遅いため熱として感じることはありません。しかし、この錆びるスピードを速くすると熱として感じることができます。使い捨てカイロはこの原理をうまく利用したものです。

市販の使い捨てカイロは、外袋は空気を通さないプラスチックで、内袋は空気を通す不織布(繊維を熱・機械的または化学的な作用によって接着または絡み合わせることで布にしたもの)で作られています。

そして、内袋の中には鉄、水(鉄の錆を促進する)、活性炭(微空間に酸素を取り込む)、食塩(鉄の酸化を速める)、高分子吸収剤(食塩水の保持)、バーミキュライト(観葉植物の保水土、微空間に水を保水しサラサラにする)が入っています。