2000万円で老後は安泰か
では、この2000万問題ですが、2000万円あれば、実際に老後は安心なのでしょうか。
金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書に、高齢夫婦無職世帯の収入と支出に関する記述があります。
毎月の実収入−毎月の実支出=20万9198円−26万3718円=-5万4520円
収入から支出を引いた額がマイナス5万4520円ということは、毎月5万の赤字が出るということです。
このマイナスが30年間続くと、約2000万円が足りなくなります。実は、これが「老後2000万円問題」の根拠となっているのです。
ただし、ここで気を付ける点が2つあります。支出の内訳です。
1つ目は、住居費用が1万3658円となっていること、2つ目は介護費用に関する言及が無いことです。
住居に関しては、持ち家でローンを完済している人により、住居費用を押し下げてしまっています。賃貸で住まわれている人の実態とは合わない値です。
老後の住まいが賃貸の場合、家賃が必要です。地域によって、家賃の相場は変わりますが、仮に月6万円の家賃で、30年住むとすれば、費用の総額は2160万となります。住居費用だけで2000万円を超えてしまうのです。
介護費用に関しては、有料老人ホームに入居した場合、入居費用が必要な施設ですと、数百万円の費用が必要です。プラスして毎月の費用がかかります。
以上のことを考えますと、住居の状況、健康問題、趣味などのライフスタイルなどによって、2000万円だけでは、十分ではないと言えそうです。