倒産件数は過去最多。福祉・介護業界とコロナ禍

福祉・介護業界の悲鳴と、その背景

ここからは、なぜ「老人福祉・介護事業」の倒産や休廃業・解散件数が増加しているのかを、見ていきましょう。

①他事業所との競争や人手不足など

現在、介護事業所は他社との競争を強いられる形となっています。

さまざまな介護事業所が存在し、利用者や家族が好きな事業所を選べるため、他社との違いを明確化したり、初期費用などの金額面で差をつけたりと、工夫をしなければなりません。

そのうえ、人手不足などの問題もあり、経営者は頭を悩ますことも多いはずです。

他社との競争や人材確保がうまくいかなければ、経営が困難となり、倒産や休廃業に追い込まれる事業所も少なくないでしょう。

②コロナ禍における、収支状況の悪化

ここからは、厚生労働省が公表した「新型コロナウイルス感染症の介護サービス事業所の経営への影響に関する調査研究事業」(※2)をもとに、COVID-19流行前と後の収支状況などにフォーカスしていきます。

<流行前と比較して収支の状況が悪くなった事業所>

  • 5月…47.5%
  • 10月…32.7%

<流行前と比較して支出が増えているとした事業所>

  • 5月…54.7%
  • 10月…53.3%

調査結果をみてみると、新型コロナウイルスの流行によって、収支の状況が悪化したり、支出が増えていたりする事業所が、5割前後いることがわかりました。

収支の状況悪化や支出の増加は、経営者にとって大きな問題です。金銭的な課題が生じれば、経営難に陥り、倒産や休廃業をせざるを得ないでしょう。

③衛生用品等の費用増加

では、先述の厚生労働省の調査で、「増加している」と答えた事業所が最も多かった項目について見ていきます。

<衛生用品に係る費用が増加した事業所>

  • 5月…79.2%
  • 10月…74.5%

5月・10月ともに、衛生用品等に係る費用が増加した事業所は7割を超え、多くの事業所に影響が出ていることがわかります。

普段の介護業務でも使用するゴム手袋などに加え、マスクや消毒液・防護服など、感染対策をするうえで、欠かせないものが増えたためと考えられます。

とくに介護は、複数の人と接触するにあたり、こまめにゴム手袋などを交換する必要があります。必然的に、衛生用品等に係る費用は増加するでしょう。

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執筆者

介護福祉士・福祉住環境コーディネーター2級・福祉用具専門相談員の資格を保有。


特別養護老人ホームでの介護職や、福祉用具レンタル会社での住宅改修業務を経験し、現在はwebライターとして活動中。

介護職時代のリアルな実体験や、細かな介護方法、介護リフォームなどの知識を、分かりやすく発信していきます。