子供の頃は、欲しい物ができると、お小遣いやお年玉を貯めていました。
大人になると、貯金する目的は欲しい物のためだけではありません。
子供の学費や住宅資金、そして老後の生活費や介護費用・・・。生きていくために必要なお金を貯めなければなりません。
しかも、ある程度、まとまったお金を貯める必要があります。
一昨年「老後2000万円問題」が話題になりました。危機感を覚えた人も多いかと思います。
この「老後2000万円問題」が話題になって以降、2020年のつみたてニーサ新規口座開設数が、9月末時点で274万5490口座となりました。2020年初からすると、わずか9ヵ月で179万口座増加したことになります。
ちなみに、2019年の新規口座開設数は42万口座ですから、口座開設数が明らかに急増しているのがわかります。
老後の生活費に不安を持った人たちが、老後資産を貯金しようとして、つみたてニーサを活用しているのかもしれません。
私は大学卒業後、信用金庫での勤務経験があり、FPの資格を持つファイナンシャルアドバイザーとして、多くの方のファイナンシャルプラニングに関わってきました。
そこで今回は、最近話題のつみたてニーサと貯金で、老後対策は十分なのかを見ていきたいと思います。
つみたてニーサはどんな制度か
つみたてニーサは、少額で「長期・つみたて・分散投資」をするための非課税制度です。2018年1月からスタートしました。
つみたてニーサの対象商品は、手数料が低水準、分配金が頻繁に支払われないなどの「長期・つみたて・分散投資」に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されています。国内で取り扱われている全ての投資信託が対象ではないので注意が必要です。
投資額は毎年40万円が上限で、投資した年から最長20年間が非課税期間となっています。非課税期間終了後は課税口座に払い出されます。
払い出された際、20年間で増えた利益は課税されることはありません。ただし、非課税期間終了後も運用を続けた場合、課税口座に払い出されてから解約までに生じた利益や普通分配金については、課税の対象になります。
口座開設可能数は1人1口座です。複数の金融機関で同時に複数のニーサ口座を開設すること、一般ニーサとつみたてニーサの併用はできません。
つみたてニーサのメリットとは
つみたてニーサの最大のメリットは、なんと言っても、運用益に対して20年間非課税で運用できるところです。
投資信託は通常、保有中に得た分配金と値上がり後に売却して得た利益(譲渡益)に対して、20.315%の税金がかかります。よって、運用益が増えるほど非課税効果は大きくなります。
せっかくですから、つみたてニーサで投資信託を購入する際は、値動きが少ない資産より、リスクがあっても長期的に成長が期待できる資産を選択したいものです。非課税の恩恵を存分に受けることができそうですね。
つみたてニーサにデメリットはないのか
つみたてニーサのデメリットをあえて挙げるとすれば、購入できる投資信託が限られているところです。
つみたてニーサで購入できる投資信託は、販売手数料がゼロで、信託報酬が一定水準以下などの条件を満たした投資信託に限られています。
そのため、より高い運用成績を目指して運用するアクティブファンドの投資信託は、ほとんどがその対象外となっています。
さらに注意したいのは、この20年間という非課税期間です。
一般的に、つみたて投資は長い時間を掛けるほど後半の増え幅が増加する傾向があります。
これは、長期間つみたてをすることで、複利効果によって投資元本が増大し、大きくなった元本から更に生み出される利益が年々増えていくためです。
実は、つみたてて20年後は、「さあここから増えていくぞ」というタイミングなのです。
このタイミングで非課税期間が終わり、課税口座に払い出されると、非課税期間後の大きく増える時期に増えた分に関しては、しっかりと20.315%の税金が課税されてしまう、という点は注意が必要です。
老後対策はどうすればいいか
とは言え、老後に向けて、できるだけ早く準備を始めないと、しっかりとした資産形成ができない恐れがあります。
無理なくコツコツつみたてたいという人こそ、いち早く投資をスタートすることで、毎月のつみたて額を無理のない金額に設定することができます。
投資をスタートさせたら、つみたてニーサだけではなく、様々な金融商品を分散して運用することをおすすめします。
どの金融商品を選択すべきかは、その人の年齢や職業、家族構成や年収によって変わってきます。まずは老後まで何年運用できるか、老後までにいくら貯めたいか、そのために毎月いくら投資に回せるかを設定しましょう。
これらを明確にすると、どれくらいのリスクを取って運用すべきかが見えてきます。
つみたてニーサで購入できるインデックスの投資信託だけでは目標達成が難しい場合、さらに大きな資産形成を狙う人は、アクティブファンドの組入れも検討する必要があります。
万が一の保障が必要な人は、保険商品での資産運用も有効です。
保険商品は将来引き出す時に、運用益が一時所得として1年間に50万円までは非課税で引き出せます。出口戦略を考えてもメリットが出てきます。
このように、どの金融商品で運用すべきかは、人によって異なりますから、一人ひとりに最適な運用法を探すことが重要です。
おわりにかえて
今回は老後対策として、つみたてニーサと貯金で十分かどうかをみてきました。結論から言うと、つみたてニーサだけでは不十分と言えます。
資産運用は、最初の戦略をしっかり立てておけば、あとは長期でコツコツつみたてていくのみです。
最初が大変ですが、入り口でしっかりと自分に合った運用商品を探しましょう。
1人では納得のいく答えを見つけることが難しい場合もあります。その際は、資産運用のプロと一緒に選んでいくことをおすすめします。
最近では、金融機関の枠にとらわれず、最適な商品を選んでくれる「独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)」も増えてきました。これを機に自分に最適な運用方法を探してみてはいかがでしょうか。
