押さえておきたい3つのポイント

小売を中心に金融、モールなどを多角的に展開するイオン(8267)の発表した2016年3-8月期決算のポイントは次の3つです。

  •  営業収益、営業利益、経常利益は対前年同期比で微増収・微増益でした。
  •  しかし、親会社株主(イオンの株主)に帰属する四半期純利益は前年同期の黒字から▲54億円の赤字に転落しました。
  •  引き続き総合小売り事業(GMS)の苦戦が続きます。

連結営業利益は対前年同期比+0.1%増に

営業利益は724億円で、対前年同期比+0.1%となりました。

一見無風に見えますが、セグメント別に見ると、強いセグメントは伸びる一方、課題の大きいセグメントは厳しさが増しています。

具体的には、総合金融事業、ドラッグ・ファーマシー事業が増益になる一方、国際事業、GMS事業とSM・DS事業の合算値は減益になりました。

GMS事業の赤字は解消されず

GMS事業は営業赤字が▲183億円になり、対前年同期比▲96億円の赤字拡大です。一方、SM・DS事業は同+74億円増益の135億円の黒字でした。2事業は合算で見ても収益は悪化しています。

ちなみに、GMS事業の主要子会社のひとつであるイオンリテールは営業赤字▲98億円を計上しました。対前年度比+1億円の改善にとどまっています。

GMS事業の苦戦はイオンだけに限りませんが、営業赤字は好ましくありません。

イオン株主に帰属する四半期純利益は赤字転落

親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期の21億円から当期は▲54億円に悪化しました。先ほど見た好調な事業ほど、連結子会社にイオン以外の外部株主がいることがその理由です。たとえば、イオンフィナンシャルサービス(8570)やイオンモール(8905)がこれにあたります。一方、赤字のGMS事業ではイオンが高い持分を持っています。

この赤字がイオンの課題を象徴しています。ダイエーの再建も含め、小売事業での早急な採算改善が待たれます。

イオンの株主優待は大人気だが収益の点では悩ましい存在

同社の株主優待は買い物にキャッシュバックがつくので大変人気が高いのですが、一方で低採算の小売事業の利益にはマイナス要因です。なかなか悩ましい制度です。

 

LIMO編集部