イライラを溜め込まないための「イライラシール」
さて、ここからが大事なところで、私たちが目指すのは「イライラしない」ではなく「イライラを溜め込まない」です。もっと言えば、溜め込んだイライラを子どもに向けて爆発させないことです。そこでおすすめなのが「イライラシール」。
これは実際にアメリカの幼稚園で行われている方法で、怒りが湧いてきてイライラしたら、子どもたちは自分の名札のところに「イライラシール」をペタっと貼ります。「僕は今、イライラしてるんだ」と自分で認識し、それを周りにも表明する。これまでは態度や言葉で表現したり無理に押さえ込もうとしていたイライラを、シールで表現します。これが案外大事なのです。だって表に出してあげないといつか爆発しちゃうから。
文房具屋や100円ショップに行けば「怒っている顔のイラストシール」とか「ニコニコ顔のシール」を売っています。もしなければ、赤や黄色のシールにマジックで「イライラ顔」や「ニコニコ顔」を描いてもいいと思います。
イライラしたとき、とにかく「イライラシール」をペタっと貼る。そして「ママは今イライラしているの」と自分に対しても、子どもに対しても示します。ただ「イライラシール」をペタっと貼る。それだけです。
子どもは3歳くらいになると、いろんなことがわかってきますから、ママがイライラシールを貼っていたら「ママはイライラしているんだな」「なんでイライラしているのかな」と思うようになります。それだって大事な一つの教育です。
怒りを理不尽に爆発させて、それを子どもに向けてしまうのは問題ですが、日々の小さなイライラを溜め込むことなく、周りにも、子どもにも見せていくのは、むしろ必要なことなのです。イライラすることは悪くない、自分が感じている感情を受け入れ、その感情に向き合い解決すること。そんな素敵なメッセージが「イライラシール」にはあります。
「感情との向き合い方」を学べるチャンス
イライラや怒りの感情が芽生えたとき、親がどんな態度を取るのか。子どもに見せるのか。そこから子どもは自分の感情との向き合い方を学ぶことができます。「イライラしてはいけない!」「イライラしている自分はダメ」と自己否定的な態度を見せるのではなく、「イライラしている自分」をまず受け止める。
ペタッとシールを貼って「ママは今、イライラしているの」という姿を見せれば、子どもはそうした感情の受け止め方を学びます。「感情を否定するのではなく、そのまま受け止めていいんだ」と知るのです。その上で、ヨガをやったりして自分の感情を整える様子を見れば、そこで「イライラや怒りという感情との向き合い方」「気持ちをコントロールするプロセス」を学びます。
イライラや怒りといった感情はネガティブな側面ばかり着目されますが、ポジティブな面も当然あります。感情との向き合い方を学べるという意味では、子どもにとって、実にいい機会なのです。