東京、神奈川、千葉、埼玉の首都圏は2度目の緊急事態宣言が発令され、リモートワークの徹底が要請されました。例年ならば年末年始のお休みが終わり、子どもは学校へ、親は仕事や家事にと通常の生活を取り戻す時期ですが、今年は夫婦共々家にいて仕事をしながら、子育てを余儀なくされるご家庭も多いはず。

未就学児や小学校低学年の子どもは、親が仕事していようが家にいれば「お腹空いた」「これ見て見て!」などと容赦なく話しかけてきます。もっと大きくなって、親にかまってかまってと言わなくなっても、ずーっと部屋でゲームをしている姿が目に入ると、仕事をしながらもイライラが募ります。

家で仕事をしながら子育てをするストレス、ふだんなら見えないことも気になってしまったり、無用な兄妹喧嘩や夫婦喧嘩も起こりそうな予感。そんなイライラ対策をライフコーチのボーク重子さんが提案します。

※本稿は、ボーク重子著『子育て後に「何もない私」にならない30のルール』(文藝春秋)の一部を再編集した内容となっています。

イライラを感じても全然OK-「イライラしない」ではなく「イライラを溜めない」こと

子育て中にイライラしない人なんているのでしょうか? 

イライラの連続が普通ですよね。それなのに子育て中の「いい母」はイライラしちゃいけない、ということになっているからイライラのたびに罪悪感と劣等感を覚えます。それがまた自己肯定感を下げてしまう。

イライラは感じてもいいんです。大切なのは時々吐き出して大爆発させないことです。私には今でも忘れられないエピソードがあって、時々そのことを思い出します。

娘がまだ3歳くらいだった頃、電車の中で娘に怒りを爆発させてしまったことがありました。娘がすごく悪いことをしたわけではなく、本当にちょっとしたことで、いつもなら怒ることすらしない程度なのに、私は怒りを爆発させてしまったのです。すると、それを見ていた年配の女性が私のところへずかずかとやってきて「恥を知りなさい!」と言ったんです。「ずっとあなたたちのことを見てたけど、娘さんは何も悪いことなんてしてないじゃない。それなのにあなたはギャーって叫んで。恥を知りなさい!」とその女性は言いました。

正直そのときは、恐ろしさに圧倒されていましたが、「恥を知りなさい!」という一言にはハッとさせられました。一瞬の出来事ですが、今でもはっきりと覚えています。

子育てをしながら「イライラしない」なんて無理!

このエピソードの重要なポイントは「私がイライラしていたこと」ではありません。むしろ、日常的なイライラをずっと溜め込んでいたために「爆発させてしまったこと」にあります。子育ては本当に大変で、イライラすることの連続。イライラするなというほうが無理な話です。それなのに、多くのママたちは「イライラしている自分」を嫌悪したり、罪悪感を抱いたりしています。「イライラしちゃダメだ」「イライラしている自分はなんてダメなんだろう」とつい感情を溜め込んでしまいます。

でも、現実問題、イライラしないなんて無理なのです。子育て全般をベビーシッターやナニーに任せている人ならともかく、自分で子育てしている人にそんなことは不可能です。子どもはこちらが思った通りに全然やってくれませんし、特に赤ちゃんの頃は、向こうも生きるのに必死で、意思表示の方法は泣くしかありません。何かあれば、すべて泣いて主張します。

といって、こちらは何をして欲しいのかわからないので、おむつを替えてあげたり、ミルクをあげたりするのですが、まったく泣き止まない。ほとほと疲れ果ててしまいます。うちの娘は、たまたま生後2カ月ほどで夜はよく寝てくれるようになったので、その点はすごく楽でしたが、2時間おき、3時間おきに起きなければならないママたちは心身ともに疲弊してしまいます。

そんな状況にいながら、多くのママたちは「イライラしてはいけない」「イライラしている自分は母親失格だ」と思っています。でも大丈夫。イライラするあなたは、それでも素敵なママです。子育てをするママたちがイライラするのは当たり前。みんなイライラしています。そんな「当たり前のことをしている自分」を責める必要なんてまったくありません。普通のこと、みんなやっていることを、あなたも同じようにしているだけです。