マーケットサマリー

インド株式市場は、2020年2月下旬から3月半ばにかけてコロナショックを受けて急落したが、その後反転し上昇を続けている。12月には史上最高値を更新した。新型コロナワクチンの普及への期待、国内では景気指標の改善や予想を上回る企業決算が追い風となっている。

一方、国債市場は2020年7月以降、一進一退の展開が続いている。インフレ率は高止まりが続いているものの、中央銀行は景気を下支えするために政策スタンスを「緩和的」に維持している(2020年12月31日現在)。

トピックス

2021年のインド経済見通し~回復あるのみ?

新型コロナウイルスの感染が拡大し、その社会および経済への影響が世界的に波及している。中でも、インドは最も深刻な打撃を受けている国の一つと言える。

しかしながら、最近では、感染者数に減少傾向が見られ、また新型コロナワクチンへの楽観的見方が広がる中で、2021年のインド経済は、未曽有の景気低迷から力強く回復するとの期待感が高まっている。インドの今後の成長軌道はスムーズではないと見られるものの、その経済活動はポストコロナのニューノーマル(新常態)に対応するものへと移行していくだろう。

政府は2020年3月にロックダウン(全土封鎖)に踏み切ったものの、新型コロナウイルスの感染拡大を防げなかった。コロナ禍による経済への打撃は、感染が2019年の緩慢な成長から抜け出せない中で発生したこと、また山積みする構造問題が重なったことなどから、増幅された。

しかしながら、極めて厳しい時期が約6ヶ月続いた後に経済活動は改善に転じ、その傾向は2020年10-12月期も継続している。ただし、回復は不均衡な状態が続いており、鉱工業生産と財の消費が立ち直りを続ける一方、サービスの消費と投資は依然として低調である。

一方、国内需要動向を反映する物品・サービス税(GST)による税収、輸入(石油・金を除く)は回復が続いている。また、コロナ禍でソーシャル・ディスタンスが習慣化したことから、デジタル決済・モバイル決済を選ぶ人の数が増えてきた。