押さえておきたい3つのポイント

大丸、松坂屋、パルコを擁するJ.フロント リテイリング(3086)の発表した2016年3-8月期決算のポイントは次の3つです。

  •  営業利益が対前年同期比で▲13%減益という厳しい実績で、通期計画も下方修正されました。百貨店事業の不振が主因です。
  •  大丸心斎橋店本館建替えのため、2015年12月30日に一部営業を休止した影響が出ています。
  •  インバウンドの爆買いブームで湧いた免税売上の減少も大きいですが、衣料品の減少が厳しくなっています。

百貨店事業が不振

同社の営業利益は190億円で、対前年同期比▲27億円の減益でした。不振が続くとの見方から、2017年2月期通期の会社業績予想も下方修正されました。不振の主因は大丸松坂屋を抱える百貨店事業です。この営業利益は93億円となり、同▲28億円の減益です。ちなみにパルコ事業の営業利益はほぼ横ばいでした。

大丸心斎橋店本館建替えの影響が大きい

百貨店事業の収益環境が厳しい要因の1つが、大丸心斎橋店本館の一部営業休止です(2015年12月30日)。3-8月期にはこの影響がフルに出ており、大阪・心斎橋店の売上は同▲24%減となっています。

インバウンド退潮が効く

インバウンドの爆買いブームで湧いた免税売上高(大丸松坂屋ベース)は、同▲27%減の132億円に急減しました。帰国後の転売を目的とするような高額品の購入は減少していますし、訪日観光客の消費行動がモノ消費からコト消費に変わったと言われていますので、百貨店には厳しい逆風でした。

衣料品不振が最大の要因

しかし、インバウンド退潮だけでは減益を説明しきれません。実は売上高構成比で4割(大丸松坂屋ベース)を占める衣料品の不振が最大の要因です。3-8月期には同▲7%減収になりました。中間所得層の動きが鈍かったと思われます。

孤軍奮闘の大丸東京店

上記の通り、今回の決算は百貨店事業を中心に厳しいものになりました。しかし、1つだけ明るい材料をあげるとすれば、大丸東京店の堅調さです。これだけ厳しい環境でも、売上高が同+2%増収になりました。今後も同社の百貨店事業の下支えを担うのか、注目です。

 

LIMO編集部