ここ数年、転勤や単身赴任を廃止する企業が増加しています。コロナ禍以前ではAIG損保が転勤制度を改め、社員に対して、会社都合による転勤を原則廃止しました。またコロナ禍ではカルビーが単身赴任の廃止を発表。日本の働き方は大きく変わってきています。今回の記事では転勤を発端とした夫婦トラブルについていただいた質問に回答させていただきます。
質問①:夫の転勤を理由に離婚できる?
夫は転勤族なのですが、私は転勤について行きたくありませんし、単身赴任も私の負担が増えるだけで大変です。これが理由での離婚は認められるものなのでしょうか?
回答①:別居を理由に離婚できる可能性も。ただし要件の確認が必要
転勤だけを理由とするのでは、離婚を直ちに実現するのは難しいです。ただし、転勤はその性質が別居を意味すると思いますので、別居をしたことにより婚姻関係、すなわち役割分担などをして家庭を維持している状態が解消されたと考えられるのであれば、離婚することはできるでしょう。ここで注意が必要なのは、別居には複数の要素があることです。主観的要件といって当事者が別居状態であることを合意していること、客観的要件といって客観的に別で寝たり起きたりの基本動作をしていること、この2つから成り立っています。単なる単身赴任ですと、主観的要件がないと判断される可能性があります。