2021年4月から改正「高齢者雇用安定法」がスタートし、70歳までの就業機会を確保することが企業の努力義務になります。定年の70歳への引上げを義務付けるものではありませんが、長く働きたいと思っている人にとっては朗報です。一方、60歳定年制を採用している企業はいまだに少なくありません。
60歳で定年を迎えた後、再雇用制度などによって会社に残れたとしても年収は大きく目減りするケースが一般的です。人生100年時代が間近に迫る今、定年後の生活に不安を感じる人も多いことでしょう。そこで今回は、労働政策研究・研修機構(JILPT)の「60代の雇用・生活調査」をもとに、働く60歳の収入についてご紹介します。
働く60代は全体の何割いる?
本調査によると、60代で2019年6月時点に「収入を伴う仕事をしていた人」の割合は全体の59.0%です。とくに、男性の60~64歳は約8割が働いて収入を得ていますが、65~69歳では男女とも働く人が2割ほど減少しています。
働く60代の1カ月あたりの賃金等収入はいくらか?
2019年6月時点の賃金等収入を男女別・年齢階級別にみていきましょう。
賃金等収入(税込み)には、賞与、年金、恩給、雇用保険等の給付金、財産収入、その他仕送り金等は含みません。自営業については、売上高から諸経費を差し引いて月割りにならした額としています。
男性の60代前半では20万~30万円未満がもっとも多くなっていますが、60代後半では突出した階級がみられず、広く分布しています。女性では60代前半と後半で大きな変化はなく、どちらも5万~10万円未満がボリュームゾーンです。男性にとって通常50代は人生でもっとも収入が多い時期です。60代で収入が激減することで働くモチベーションが下がる人も少なくありません。
雇用形態をみると男性の60代前半では正社員がもっとも多く、37.1%を占めます。60代後半では正社員が18.8%に減少し、パート・アルバイト(34.1%)や契約社員(22.5%)として働く人が増えています。女性ではいずれの年齢階級でもパート・アルバイトがもっとも多く、60代前半では61.5%、60代後半では69.8%を占めています。