この記事の読みどころ

  • 9月の日本株式相場は、期待されたイベントが空振りに終わり、やや低調な値動きで終わりました。
  • 10月は序盤から企業決算に注目が集まりそうです。各社の通期業績予想の見直しなどが相場の大きな材料になるでしょう。
  • 為替相場を睨みながら、出遅れ感のある好業績銘柄をコツコツ拾いたいところです。

先月(9月)の株式相場の振り返り

9月は日米の金融政策、東京ゲームショウなど期待されたイベントが空振りに終わり、なおかつ、為替相場が円高に振れたことなどから、株式市場はやや低調に終わりました。後半は16,500円を挟んだ攻防が続きました。

期待されたイベントが空振りに終わるが、辛うじて期待をつなぐ結果に

9月の株式相場は、日経平均株価が16,200~17,200円のレンジ内で推移しました。しかし、前月(8月)に続いて、ほとんどが16,500円を挟む攻防となったようです。

その日経平均株価を振り返ると、8月末の株価(終値、16,887円)との比較では、9月末終値は▲2.6%下落となりました。また、9月高値は同+1.6%上昇、9月安値は同▲3.6%下落でした。なお、2015年末と比較した9月終値は▲13.6%下落となっており、8月末よりマイナス幅がやや拡大しています。

結果的に9月の株式相場が今一つ低調に終わったのは、期待されていたイベントが空振りに終わったことが主要因です。日銀の金融政策決定会合の結果は消化不良となり、東京ゲームショウも期待外れでした。ただ、空振りとなったものの、まだ2ストライクであり、三振バッターアウトではないと言えます。

特に、日銀が発表した新たな枠組みの金融政策に関しては、今後徐々に評価されていく可能性もあります。10月に辛うじて期待をつないだとも言えましょう。

日経平均株価の過去6か月間の推移

2016年10月の注目イベント、注目セクター

10月は序盤から企業決算に大きな注目が集まります。各社の通期予想の見直しが最大の焦点ですが、一方で、ソニーの新商品発表などのイベントからも目が離せません。忙しい1か月になりそうです。

企業決算とソニーの新商品発売に注目が集まる展開に

10月は金融政策の大きな予定はありませんが、株式相場に影響を与えそうなイベントは少なくありません。毎月恒例となった米国雇用統計の発表(10月7日)に加え、何と言っても決算発表が大きな焦点です。

上旬は2月期(上期決算)と8月期(通期決算)の発表が本格化し、終盤には3月期決算(上期決算)が続きます。実績もさることながら、通期の会社予想が見直される可能性が非常に高いため、その新たな会社予想数字が株式相場に与えるインパクトは大きいと考えられます。10月は企業決算が大きな材料になるでしょう。

企業決算に注目が集まる中、商品関係で見逃せないイベントが、10月13日に予定されているソニー(6758)のゲーム機「Play Station VR」(以下、PSVR)の発表です。既に商品概要は明らかになっているようですが、正式発売に伴って、VR技術を含めて再評価される可能性もあります。

7月に起きた“ポケモノミクス相場”のようなムーブメントが起きるか注目です。ただ、9月は期待されていた東京ゲームショウが不発に終わった経緯もあり、過大な期待は禁物かもしれません。

好業績銘柄の下値をコツコツ拾う戦略が有効、外需関連にも注目

前述したように企業決算に注目が集まると予想されますが、日銀の金融政策が消化不良状態になっており、為替相場が読み難い状況です。そのため、円安で輸出関連株とか、円高で内需関連株のように、一方方向に決め打ちするのは危険です。各社の決算発表、とりわけ、通期予想の見直しが出揃ってから考え直すのも重要です。

こうした方向感が見え難い中、やはり、出遅れ感の強い好業績銘柄をコツコツ拾っていくことが有効になると思われます。

9月後半以降の動きを見ると、円高進行を背景として外需関連銘柄のパフォーマンスがやや冴えません。為替相場にもよりますが、こうした輸出関連銘柄の下値をコツコツ拾う戦略も有効と考えます。また、内需関連では小売セクターに注目したいところです。

 

LIMO編集部