「学歴マウンティング」する人は何がしたくてやっているのか?

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SNSでよく使われる「マウンティング」という言葉をご存じでしょうか? 多くの人には説明不要かもしれませんが、相手のことを見下しているかのような言動をして相手の上位に立とうとすることを、このように言います。マウンティングの中でも特にわかりやすく、目につきやすいのは、いわゆる「学歴マウンティング」なのではないでしょうか。

Twitterでは、「学歴で人を差別する友人」を取り上げた、三条京阪(@sanjou_keihan)さんのこんな投稿が話題になっていました。

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「友人がトラックの運転手を「猿でもできる低学歴の象徴」と言っていて腹が立った。「学問に関わらず、その人が働いて暮らしているのならもう十分立派なことじゃないか」と言うと「学歴のないやつはそんな事も考えない」と答えた。バカヤロウ。それを教えてくれたのはうちの親父だ。トラックの運転手だよ」(原文ママ)

この投稿は、2万3000RT(リツイート)されて「いいね」も13万2000を超え、「似たような経験がある」など多くの反応が集まっています。「学歴」は、多くの人がなんとなく気にしている問題であり、実際、就職だけでなく仕事の中でも、学歴を理由として差別されてしまうこともいまだに多くあります。この記事では、そんな社会における学歴への偏見の声と、それに対する意見を見ていきます。

学歴マウンティングとその声

そもそも「マウンティング」とは、本来、動物が自分の優位性を表すために仲間の上に馬乗りになることを言います。そこから格闘技でも馬乗りをした時に「マウントポジションをとる」と言うようになったとのこと。この記事でいう「マウンティング」は実際に馬乗りになるわけではないですが、自分の優位性を見せつけたいと言う目的は本来の意味と同じなんですね。

実際にSNSを調べてみると、このような「学歴差別」や「学歴マウンティング」にあったという投稿が散見されます。

「サラリーマンしてた頃、有名大卒の人に聞いたことない大学だなってばかにされたなあ」
「某大学の大学院まで卒業していた彼は一緒にいた自分の会社の若い部下に対し「定時制高校しか出てないから間違いが多いんだよな」と学歴マウントしてきていて驚いた。まだこんな人が存在しているってことに……」
「地元の田舎では、母親が私の旦那の学歴でマウントを取りまくっているらしく、本当にうんざりした」
「うちの社長が同業他社の社長さんに「うちは管理部門で東大卒のやつを使ってんだよ」って自慢げに言ってて、ああこの人は本当に馬鹿なんだなと可哀想になった」

「学歴マウンティング」はあらゆる場所で起きることのようです。また、「大卒と高卒で仕事の内容は変わらないのに給料が異なっている」という例を取り上げて、学歴社会が根強く残っているために意味のない格差と差別が残ってしまっているのではないかと推察する声も見られました。

逆学歴マウンティング

一方で「学歴マウンティング」をされるのは、必ずしも学歴のない人だけではありません。いわゆる高学歴の人たちは「逆学歴マウンティング」の被害に遭いやすいとよく話題になります。

「一番最初に入社した会社の配属先で、大卒なのにそんなことできないんですか、とか大卒だからって調子乗らないでください的ないじめ方をされてた」
「知り合いの会社では、新卒で着任した現場で大学卒がそいつだけだったので「学士くん」て呼ばれてたらしい」
「国立大出てるんだからできるだろって嫌味言われることがあった」
「東大卒と言うと損しかしないから黙っている」

SNS上では、低学歴を見下すものよりも「高学歴なやつほど勉強だけで仕事ができない」「職場の東大卒より高卒の方が仕事ができる」というような旨の投稿が多く見られます。大学名だけで「優秀だろう」と期待されてしまうために、窮屈な思いをしている方も多いのかもしれません。

なぜマウンティングするのか?

なぜこのような「マウンティング」という行為が行われるのでしょうか。早稲田大学人間科学学術院教授である向後千春さんは、自身が運営するnote内のコラムにて、こう述べています。

「「マウンティング」は、アドラー心理学で言うところの「優越コンプレックス(superiority complex)」ですね。そして、優越コンプレックスは「劣等コンプレックスの裏返し」となっております。つまりマウンティングする人は、自分の劣等コンプレックスに悩んでいて、それをなんとかしようと思ってマウンティングをしてしまうというわけです」

劣等コンプレックスは「自分が劣った人間であるという感情」をいい、優越コンプレックスとは「自分が優れた人間であるかのように見せかけて劣等感に対処する態度」のことを言うそうです。自信を失い、自分を肯定できないなどの問題を抱えた人が、「学歴」という社会で一般的に認められうる価値を利用して、なんとか劣等感の苦しみから逃れようとしているのではないでしょうか?

向後さんは「そう思って、マウンティング女子やマウンティング男子を見ると『まあ色々大変だけどがんばっていきましょうよ』と声をかけてあげたくなってしまうのですね」と続けています。マウンティングをされたときは、カッとなる気持ちを抑えて、そういう広い心で受け流せたらいいのですが……。

クロスメディア・パブリッシング

参考記事

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執筆者
クロスメディア・パブリッシング

2005年創業。ビジネス書・実用書を中心とした書籍出版や企業出版、メディア・コンテンツ事業、デザイン制作事業などを手がける。

主な刊行書籍に、20万部突破の『誰からも「気がきく」と言われる45の習慣』をはじめ、『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』 『起業家のように企業で働く』 『すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術』 『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』 『自分を変える習慣力』 『鬼速PDCA』など。