年金は老後生活の基盤を支えるたいせつなお金です。とはいえ、将来もらえる年金の金額がどのくらいなのか把握できていない人もいるのでは?
年金をもらう年齢になってから「予想していたよりも金額が少ない!」と焦っても、できることは多くありません。土壇場で後悔しないためには、先手先手の備えが必要ですよね。
その前に・・・。
ぶっちゃけの話、年金って、どのくらいもらえるんでしょうか。
年金額が決まるしくみ
新規裁定者って、なあに?
年金は基本的に65歳から支給されます。その時もらえる金額が一生涯変わらないと思っている人もいるかもしれませんが、支給される金額は毎年見直されます。物価や現役世代の賃金を考慮して改定されるため、増える年もあれば減る年もあります。
年金を新たにもらい始める人を「新規裁定者」といいます。年金額は基本的に3年前の指標をもとに決まるため、67歳以下の年金受給者が新規裁定者にあたります。すでに年金を受給している68歳以上を既裁定者と呼んで区別しています。
新規裁定者の年金額は原則的に現役世代の賃金変動をベースにして決まり、既裁定者の年金額は物価変動をベースに改定されます。
新規裁定者は「厚生年金」をいくらもらえる?
厚生労働省の「平成30年(2018年)度 厚生年金保険・国民年金事業年報」によると、2018年度末における老齢年金受給者の平均年金月額は、厚生年金保険(第1号)が14万6,000円、国民年金が5万6,000円でした。会社員の夫と専業主婦の妻の世帯では、約20万円の年金がもらえる計算です。
つぎに同資料から新規裁定者がもらえる年金の月額をみていきましょう。
■新規裁定者の厚生年金月額
- 5万円未満・・・17.9%(男性14.7% 女性48.4%)
- 5~10万円・・・43.2%(男性43.7% 女性38.8%)
- 10~15万円・・・34.1%(男性36.6% 女性10.5%)
- 15~20万円・・・3.3%(男性3.5% 女性2.1%)
- 20~25万円・・・1.3%(男性1.4% 女性0.2%)
- 25~30万円・・・0.1%(男性0.1% 女性0.0%)
- 30万円以上・・・0.0%(男性0.0% 女性0.0%)
男性では、5~10万円が4割超でもっとも多くなっています。次に多いのが10~15万円の約37%です。現在の平均値を参考にして「14万円くらいはもらえるだろう」と考えていると、アテが外れるおそれがあります。
女性では10万円未満が約9割を占め、10~15万円がもらえるのは10人に1人です。
新規裁定者は「国民年金」をいくらもらえる?
同資料をもとに国民年金の新規裁定者がもらえる金額を紹介します。
- 1万円未満・・・1,556 人
- 1~2万円・・・5,109 人
- 2~3万円・・・1万2,512 人
- 3~4万円・・・2万2,402 人
- 4~5万円・・・5万1,768 人
- 5~6万円・・・6万6,086人
- 6~7万円・・・9万7,200 人
- 7万円以上・・・1万4,313人
国民年金では性別によらず6~7万円支給されている人がもっとも多くなっています。厚生労働省の「令和2年度の年金額改定についてお知らせします」によると、2020年度の満額支給額は6万5,141 円で、前年度よりも133円多くなっています。