こうして振り返ると、やはり、「今年の一皿」受賞がピークとなり、その後は沈静化した、あるいは下降していったことが分かります。確かに、その年を代表する料理を表彰するわけですから、次の年にブームが終わるのは当然なのかもしれません。しかし、“山高ければ谷深し”となっているものが少なからず見られるのは、残念の一言に尽きます。
飲食店がテイクアウトに頼らなくてもいい日が早く来るように
さて、テイクアウトグルメは今後どうなるでしょうか。
過去のパターンから言えば、徐々に人気は下火になると思われます。ただ、従前の「今年の一皿」はブームと称されるような人気に支えられたものであったのに対し、テイクアウトグルメは人気云々とは関係なく、ある種の「生活必需品」として取り扱われました。このようなパターンは間違いなく初めてです。
そして、コロナ禍の影響が拡大し続けている現状を見る限り、テイクアウトグルメに対する需要が急減する可能性は非常に低いと考えられます。それどころか、その需要がより一層拡大する可能性もありそうです。
筆者はテイクアウトグルメを否定するつもりは毛頭ありませんが、1年後、あるいは2年後に、テイクアウトグルメが廃れて、コロナ前の様に、皆が飲食店の中で楽しく時間を過ごせる世の中になっていてほしいと願います。やはりテイクアウトグルメが「今年の一皿」に選出されるのは、異常事態としか考えられないのは筆者だけでしょうか。
葛西 裕一