毎年、ぐるなび総研の主催で「今年の一皿」という食文化の表彰が行われています。これは、優れた日本の食文化を人々の共通の遺産として記録に残し、保護・継承するためにその年の世相を反映し象徴する食を表彰するものです。早い話、“フード・オブ・ザ・イヤー”という位置付けだと思われますが、毎年、それなりの注目を集めて発表されています。
先日、今年2020年の受賞が発表され、今年はテイクアウトグルメが選定されました。テイクアウトグルメの拡大については改めて説明するまでもなく、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、新たな収益源としてテイクアウトを開始する飲食店が急増したことによります。
コロナ禍でテイクアウト営業が短期間に急拡大
ご存知の通り、テイクアウト(持ち帰り)自体は決して目新しいものではなく、ファストフードを中心に定着していました。また、弁当チェーン店などテイクアウト専門店も珍しくなかったと言えます。
しかしながら、新型コロナ感染が一気に拡大し、政府による緊急事態宣言や地方自治体主導の店舗営業自粛要請がごく短期間のうちに発令されたことで、それまでにテイクアウト営業に注力していた店(業態)と、していなかった店(業態)との優劣が明確になりました。
テイクアウトは、メニューの開発や持ち帰り容器の手配など、想像以上に事前準備に時間を要します。コロナ禍まで店舗での集客営業のみに注力してきた業態は、抜本的な構造改革(早い話がリストラ)に迫られており、その代表格がファミレスなのでしょう。
いわゆるコロナ第1波の襲来から10カ月が経とうとしている現在、多くの飲食業がテイクアウト営業を実施しています。その意味では、「今年の一皿」にテイクアウトグルメが選出されたことに異論を唱える人は少ないと思われますが、このテイクアウトグルメの拡大は今後も続くのでしょうか?