株式市場の振り返り-日銀の金融政策は消化不良、方向感乏しい展開に

2016年9月23日(金)の主要指標 カッコ内は前日終値比

  • 日経平均株価 16,754円(▲53円、▲0.3%) 反落
  • TOPIX 1,349.5(▲3.1、▲0.2%) 4日ぶり反落
  • 東証マザーズ総合指数 944.8(+26.3、+2.9%) 大幅続伸

東証1部の出来高は19億6,332万株、売買代金は2兆2,327億円(概算)でした。21日に日銀が発表した新たな枠組みでの金融政策、及び、利上げ見送りを決めたFOMCの結果を受け、方向感が定まらずに様子見スタンスが強まりました。特に東京市場は、休場明けで熟慮する時間があったはずですが、それだけ日銀の意図が把握し難く、消化不良のままになったと言えます。ただ、売買代金は2兆円を維持しており、相場のエネルギーが急減した訳ではなさそうです。一方、東証マザーズの出来高は5,603万株、売買代金は701億円となりました。指数が大幅高となった割には、休場前並みの商いに止まった状況であり、資金流入の動きは見られませんでした。

自動車株と証券株が大幅安、小売株の一角には買いが優勢

個別銘柄では、円高進行を受けてトヨタ自動車(7203)やマツダ(7261)などの自動車株が大幅下落となり、野村ホールディングス(8604)など証券株も大幅安となりました。また、休場前に急騰した三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)など銀行株が反落となり、村田製作所(6981)やローム(6963)など電子部品株の一角も大幅安となっています。一方、しまむら(8227)、ニトリホールディングス(9843)、良品計画(7453)などの小売株が大きく値を上げました。

また、新興市場では、そーせいグループ(4565)やCYBERDYNE(7779)など時価総額の大きい銘柄が総じて大幅高となり、医薬バイオ関連銘柄では、アキュセラ(4589)がストップ高になるなど大幅上昇が目立ちました。また、串カツ田中(3547)も再び急騰し、串カツ人気が衰えていないことを示しています。

本日(9月26日)の注目点-材料不足の中、小売セクターの決算に対する思惑が発生か

注目された日米の金融政策イベントが終了し、尚且つ、その内容が消化不良となったため、週明け26日(月)の株式相場は、特段目立った材料に乏しい展開となりそうです。しかしながら、材料がない時に、無理矢理に何か材料を探すのも株式相場です。こうして探し出された材料によって、意外に大きな値動きとなる可能性もありますので注意したいところです。

その無理矢理に探し出される材料の筆頭候補が、小売企業の決算内容です。実際、2月決算期や8月決算期が多い小売セクターでは、27日(火)から徐々に決算発表が始まります。本格的には10月に入ってからですが、今回は通期予想の見直しも多くなるため、その事前予想が材料になる可能性は十分あります。すでに小売セクターの一部銘柄では、先週末にその兆候が表れています。その意味も含めて、目先は小売セクターに注目でしょう。

IPO銘柄へ資金流入の局面も、第2の串カツ田中が出るか

日銀の金融政策が意図する所を理解し難い中、大型株は方向感が掴み難い展開が続くと見られます。そこで、逆に注目されるのが新興株式市場であり、とりわけ、IPO銘柄になる可能性があります。9月最終週も5社のIPOが予定されており、大型株市場の材料不足が、IPO銘柄への資金流入となることも考えられます。先々週の串カツ田中のような大ヒット銘柄が登場するのかにも注目です。

青山 諭志