今回は、内閣府が公表した、「平成30年(2018年)度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査結果」より、熟年世代の「頼られ具合」について、とりわけ、誰かから「お金の面で」頼られている人はどのくらいいるのか、データをみていきます。
「日本のシニア世代はお金持ち」という声もちらほら聞こえる中、75歳を過ぎてもまだなお、家族などにお金を援助する側にいる人は、どのくらいいるのでしょうか?
「日常生活の中で、誰かに頼られていますか?」
では、同調査の結果から、日頃の生活で、何かしら「頼られている」と感じている60歳以上の人は、どのくらいいるのかみていきましょう。
日常生活の中で誰かから頼られていますか?
<男女計>(N=1870)
- ある…70.3%
- ない…28.9%
- わからない…0.9%
<男性>
- 60~64歳(n=131)…73.3%
- 65~69歳(n=223)…72.6%
- 70~74歳(n=197)…66.5%
- 75~79歳(n=166)…63.3%
- 80歳以上(n=153)…54.9%
<女性>
- 60~64歳(n=138)…87.0%
- 65~69歳(n=252)…84.5%
- 70~74歳(n=217)…80.6%
- 75~79歳(n=197)…70.6%
- 80歳以上(n=196)…45.4%
同居形態別にみると、どのような差があるのでしょうか。
同居形態別「日常生活の中で誰かから頼られていますか?」
<男性>
- 単身世帯(n=102)…25.5%
- 夫婦のみ世帯(n=395)…71.1%
- 二世代世帯:親と同居(n=32)…84.4%
- 二世代世帯:子と同居(n=228)…70.6%
- 三世代世帯:親・子と同居(n=30)…86.7%
- 三世代世帯:子・孫と同居(n=65)…73.8%
- その他の世帯(n=18)…50.0%
<女性>
- 単身世帯(n=162)…43.2%
- 夫婦のみ世帯(n=360)…82.5%
- 二世代世帯:親と同居(n=30)…83.3%
- 二世代世帯:子と同居(n=278)…77.0%
- 三世代世帯:親・子と同居(n=13)…100.0%
- 三世代世帯:子・孫と同居(n=130)…75.4%
- その他の世帯(n=27)…70.4%
では、都市規模では、差があるのでしょうか。
都市規模別「日常生活の中で誰かから頼られていますか?」
- 大都市(n=417)…64.7%
- 中都市(n=729)…70.6%
- 小都市(n=492)…73.4%
- 町村(n=232)…72.4%
次では、「誰に」そして「どんなことを」頼られているかについてみていきます。
「あなたを頼る人は、誰ですか?」
日常生活の中で頼られている人
配偶者(あるいはパートナー)…69.1%
子…68.0%
孫…27.8%
その他の親族…18.6%
友人…10.0%
近所の人…8.8%
その他…1.5%
わからない…0.1%
不明―
「どんなことで、頼られていますか?」
最初の設問で、誰かに頼られることが「ある」と回答した人に、「どのようなことについて頼られているか」、その内容を聞いた結果は以下のようになりました。
男女別にみた「どんなことで、頼られているのか?」
<男性>(n=578)
- 家事…42.9%
- 看病・介護…18.5%
- 子や孫の世話…33.9%
- 健康や家庭内のトラブルなどの相談…27.2%
- 喜びや悲しみを分かち合うこと…29.9%
- お金の援助…20.9%
- 家具の移動・庭の手入れ・雪かきなどの手伝い…39.3%
- その他…8.7%
- わからない…0.7%
<女性>(n=736)
- 家事…70.4%
- 看病・介護…23.2%
- 子や孫の世話…42.3%
- 健康や家庭内のトラブルなどの相談…20.8%
- 喜びや悲しみを分かち合うこと…29.6%
- お金の援助…10.9%
- 家具の移動・庭の手入れ・雪かきなどの手伝い…15.5%
- その他…6.1%
- わからない…0.4%
性別ごとにみると、女性では「家事」「子や孫の世話」が男性より高く、男性は「家具
の移動・庭の手入れ・雪かきなどの手伝い」「健康や家庭内でのトラブル等の相談」
「お金の援助」が女性より高い傾向がみられます。
また、こちらにはデータを記載していませんが、男女ともに、「子や孫の世話」は 75 歳以上で低くなり、「お金の援助」は 60~64 歳で高く、年代が上がる程低くなっています。女性の「家事」は、79 歳までは7割前後で大きくな変化はありませんが、80 歳以上では6割と低くなっています。
次ではさらに、「お金の援助」をしている人について、くわしくみていきます。
還暦60歳以上。家族などに「お金の援助」をしている人は、どのくらいいるのか?
では、60歳以上で、家族などにお金のことで頼られている人、つまり、「お金の援助をしている」人の割合を、属性ごとに追っていきます。
<男女計>(N=1314)…15.3%
- 男性(n=578)…20.9%
- 女性(n=736)…10.9%
<男性>
- 60~64歳(n=96)…35.4%
- 65~69歳(n=162)…17.3%
- 70~74歳(n=131)…20.6%
- 75~79歳(n=105)…19.0%
- 80歳以上(n=84)…14.3%
<女性>
- 60~64歳(n=120)…16.7%
- 65~69歳(n=213)…9.9%
- 70~74歳(n=175)…10.3%
- 75~79歳(n=139)…7.2%
- 80歳以上(n=89)…12.4%
男女ともに、75歳をすぎても何らかのかたちで「お金の援助をする側」にいる人が一定数いることがわかりました。
性別・未既婚別にみた「お金の援助をしている」人の割合
- 男女計:未婚(n=27)…7.4%
- 男女計:既婚・配偶者あり(n=1047)…15.6%
- 男女計:既婚・配偶者と死別(n=190)…13.2%
- 男女計:既婚・配偶者と離別(n=50)…22.0%
- 男性:未婚(n=10)…10.0%
- 男性:既婚・配偶者あり(n=530)…20.8%
- 男性:既婚・配偶者と死別(n=29)…24.1%
- 男性:既婚・配偶者と離別(n=9)…33.3%
- 女性:未婚(n=17)…5.9%
- 女性:既婚・配偶者あり(n=517)…10.3%
- 女性:既婚・配偶者と死別(n=161)…11.2%
- 女性:既婚・配偶者と離別(n=41)…19.5%
同居形態別にみた「お金の援助をしている」人の割合
<男女計>
- 単身世帯(n=96)…17.7%
- 夫婦のみ世帯(n=578)…12.8%
- 二世代世帯:親と同居(n=52)…15.4%
- 二世代世帯:子と同居(n=375)…15.5%
- 三世代世帯:親・子と同居(n=39)…28.2%
- 三世代世帯:子・孫と同居(n=146)…19.2%
- その他の世帯(n=28)…17.9%
<男性>
- 単身世帯(n=26)…23.1%
- 夫婦のみ世帯(n=281)…17.4%
- 二世代世帯:親と同居(n=27)…18.5%
- 二世代世帯:子と同居(n=161)…22.4%
- 三世代世帯:親・子と同居(n=26)…42.3%
- 三世代世帯:子・孫と同居(n=48)…22.9%
- その他の世帯(n=9)…33.3%
<女性>
- 単身世帯(n=70)…15.7%
- 夫婦のみ世帯(n=297)…8.4%
- 二世代世帯:親と同居(n=25)…12.0%
- 二世代世帯:子と同居(n=214)…10.3%
- 三世代世帯:親・子と同居(n=13)…―%
- 三世代世帯:子・孫と同居(n=98)…17.3%
- その他の世帯(n=)…10.5%
仕事の状況別にみた「お金の援助をしている」人の割合
有職計(n=537)…20.7%
- 自営業者・個人事業主・フリーランス(n=173)…17.3%
- 正規の社員・職員(n=89)…29.2%
- パート・アルバイト(n=209)…17.7%
- 会社または団体の役員(n=32)…31.3%
- 家庭内の賃仕事(家庭内職)(n=13)…23.1%
- その他(n=21)…23.8%
無職(n=777)…11.6%
都市規模別にみた「お金の援助をしている」人の割合
- 大都市(n=270)…16.7%
- 中都市(n=515)…14.6%
- 小都市(n=361)…16.9%
- 町村(n=168)…11.9%
さいごに
今回ご紹介したデータからは、60歳以上のシルバー世代が、「誰に対して」「どの程度」お金の援助をしているのかは読み取ることはできません。とはいえ、老若男女問わず、「誰かに頼られる」ことは、人生に張り合いがでるものです。「人生100年時代」を迎え、還暦を過ぎても、仕事やボランティア、そして「孫育て」に忙しいシルバー世代が増えていますよね。
「日本のシニア世代は、結構お金持ちらしい」という声もちらほら聞こえます。今回の調査結果をみても、75歳を過ぎても、何らかのかたちで「お金の援助をする側」にいる人がいることが分かりました。しかし、その一方で、厚生労働省の資料によると、生活保護を受ける方が65歳以上に多いというのも、現実です。
コロナ禍で漠然とした不安を抱えながらの生活が続く今。「頼られるシニア」が、今後どのように増えていくかも気になるところですね。
【ご参考】
「高齢者の住宅と生活環境に関する調査」平成 30 年度 内閣府政策統括官(共生社会政策担当)は、全国の 60 歳以上(平成 30 年 1 月1日現在)の男女(施設入所者は除く)合わせて3000人を対象に、調査員による面接聴取法によって実施されたものです。
調査期間は2018年11月18日~12月9日、調査事項は(ア) 基本的な生活の状況に関する事項、(イ) 住宅の状況に関する事項、(ウ) 生活環境に関する事項、となっています。
※本格的な高齢期を迎える前からの年代による意識の違い等についても把握するため、60 歳以上の男女を調査対象としています。
「平成30年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査結果(全体版) 第1章 調査の目的及び方法等」内閣府
【参考】
「平成30年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査結果(全体版)」内閣府