果たして日本でDXは実現するのか
日本のDX推進はかなり遅れています。たとえばITベンダーがDX未着手の顧客アンケートを実施すると、「なにが課題か分からない」「入口が見えない」という声が、多数を占めるというのが実情です。
なぜ、このようになるのでしょうか。仮説としては、目的と手段のすり替わりがどこかで起きている気がします。本来、ビジネスモデルの革新のはずが、どこかでデジタルの話になってしまっている。
経済産業省の資料にもでてきますが、「ともかく、AIで新しいことを始めろ!」と命じる社長像。そんな社長が実際にいるかは分かりませんが、そのようなロジックのすり替わりが確かに起きている印象があります。
では、なぜ、すり替わりが起きるのか。さらに大胆に想像すると、DXを必要とする世界標準のビジネスのカタチと、日本のビジネスが大きくかけ離れているのかもしれません。
レガシーシステムの問題点は、横断性がない、個別事情で過剰な改修(アドオン)がある等ですが、これはITシステムの問題と同時に、日本型ビジネスにも当てはまる気がします。
そこから目を背けるために、デジタルの話にすり替えている。もし、そうだとすると、これが一番、恐ろしい話かも。簡潔にマトメると「社長を年功序列で決める国でDXは可能なのか」という問題なのかもしれません。
榎本 洋