ITエンジニアの未来は明るくない?

では、ITエンジニアの未来はバラ色なのでしょうか。

日本のDX論では「攻めのIT/守りのIT」という議論がよく行われています。攻めのITとは、新しいビジネスや価値創造につながるもの。守りのITとは既存システムの維持を意味します。日本では守りのITが約7割と高比率なのが問題とされています。

日本の場合、既に大企業を中心に自社内にITシステムを構築しています。これらを確立している分だけ、維持等の「守りのIT」の労力がかさむわけです。

現在、この自社内のシステム(オンプレミス、通称オンプレ)からクラウドへの移行が始まっていますが、経産省のDXレポートでは、従来のシステムはレガシーシステムであり、日本経済の足かせになるとしています。「2025の崖」とは、このレガシーシステムにより2025年に年間最大約12兆円の経済損失が生じる可能性があるという意です。

巷のDX解説本等では「攻めのIT」へのシフトで、社内IT人材の有効活用ができるとしています。実は、このへんのマユツバ感がスゴイのです。

オンプレ保守を担当していたITエンジニアの人に「来月から、アジャイルで攻めのITシステムを開発してよ」と言って、果たして実現可能なのでしょうか。そう考えると、ITエンジニアの未来も決してバラ色ではないのかもしれません。もちろん、これも日本でDXが実現すればの話ですが。